「立ち上がり」の介助
「(ベッドでの)起き上がり介助」が終わり、
腰掛けている状態の相手に対し、今度は
「立ち上がり」の介助を行います(イスから
の立ち上がり介助も基本的には同じです)。
【頭の位置が高いと、重力を使える】
「動作が不安定(立ち上がり編)」でお伝え
したように、離殿(座面からお尻を浮き上が
らせる)は決して筋力ではなく、重力(自分
の上半身が落下する力)を利用するのが本来
の効率的でラクな動作なので、介助せずとも
相手の頭が高い位置に保たれているのが望ま
しい状態です(本来は)。
しかし、離殿が困難な人の多くは、体幹の
支えが不十分などの理由で、頭の位置が低い
ため、重力を利用できず、それでいて筋力
も低下していて(または、うまく使えず)
ニッチもサッチも行かない状態です。
ジェットコースターも低い位置から落ちた
のでは、上昇する力を得にくいですもんね。
「レナト式リハビリ」で体幹の支えを作る
時期はまだ頭の位置が低いので、介助で
頭の位置をカンタンに高くしましょう。
相手の肩甲骨を操作してあげれば、ムリ
なく体幹が「自動的に」起きてきます。
その上で重力を利用すれば、ラクに立ち
上がり動作(特に、離殿部分)の介助が
行えますよ。
【関連動画】
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※画像のクリックで動画へ移動します↓
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↑ 肩甲骨を操作すると、頭の位置をその場で ムリなく高められます
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【「連動」が復活して効率的に!】
また、離殿直後の下肢を伸ばして上昇する
段階に関しては、上昇直前に下肢の筋肉たち
にスイッチが入った(力が入った)状態に
ならないと、効率的に上昇できません。
ご自分の体で比較してみて下さい ↓
<簡単に比較してみましょう☺>
頭の位置を高くして、腰掛けた状態から
スタートするのは共通です。
(左右の手をそれぞれ、左右の太腿の前側に
置いておくと、筋肉の収縮具合が分かり
やすくなりますよ。)
<非効率なパターン (>_<)>
・わざと両脚をパカッと開いてみる
↓
・その状態で(上半身をおじぎさせて)
立ち上がろうとする。
↓
より深くおじぎして、勢いをつけないと
立ち上がりにくい
(力が逃げているため、より反動をつけ
ないと上昇できない状態です)
<効率的なパターン !(^^)!>
・両膝を開かず、おじぎを始める
↓
・腹筋の緊張が高まり→続いて両下肢の筋肉
の緊張が「自動的に」高まる
↓
・スムーズに立ち上がれる。
(お腹の力=腹筋の収縮がムダなく下肢の
筋肉に連鎖し上昇に使えるため、深く
おじぎして反動を使う必要がありません)
まとめると、
・肩甲骨の操作で、頭の位置を高くする。
・両脚をできるだけ開かせないようにする。
・おじぎからの立ち上がり動作を誘導する。
これだけです。
この方法だと、お互いにラクだし「リハビリ
の効果(筋肉の収縮連鎖など本来もっている
効率システムの再構築)」もあるので、単に
介助で立たせるだけなのと比べると、未来が
明るいですね。
【座り(腰かけ)動作の介助】
ちなみに、「座り(腰かけ)」の動作は、
基本的には「立ち上がり」の逆(リバース)
だと捉えてもらえばいいので、介助においても
立ち上がりの軌道を逆方向になぞるように
行います。
【関連動画・書籍】
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↑ 相手の両脚を(できるだけ)開かせない ようにすれば、お腹からの力が下肢へ 伝わり、ムダなくラクに立てます (それ自体がリハビリになります)
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↑ 書籍では「リハビリ効果もある介助方法」 の詳細もご紹介しています
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↑ 相手の体(特に、背面)が硬くて、 立ち上がりのための「おじぎ」などが 難しい場合は、先にほぐしてあげて下さい ↓
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↑ 相手の背面が硬いと、立ち上がり時の 「おじぎ」だけでなく、「起き上がり」 の介助も大変でしたもんね(画像の
クリックで動画へ移動します)
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【お尻まわりの筋肉がここでも活躍】
ちなみに、腰掛けた時に「両脚が開かない
状態」にして行くには、お尻まわりの筋肉を
つける必要があります。
お尻まわりの筋肉が、骨盤と大腿骨との位置
関係を保持するためです(内転筋でなく)。
このため、お尻まわりの筋肉がやせてフニャ
フニャになってくると、腰掛けた際に両脚が
パカッと開いて来ます。
お尻まわりの筋肉をドアをノックするように カンタンな方法でつけるなら ↓
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↑ 片麻痺など片方のお尻がやせてくると、 腰掛けた際にその側の脚だけ開いた状態 になるので、分かりやすいですよ。
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書籍なら、その2「身体の土台をつくる」で より効果的に筋肉をつくる方法や、逆に、 効果が出にくくなる注意点などをご紹介して います ↓
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