「起き上がり」の介助
介助・介護が必要な人は「介護用ベッド」を使っていることが多いため、ここではベッドの前提でお話しします。
起き上がりの動作は、「横になっている状態から上半身を起こす→ベッドに腰かける」というものです。ご本人が自力でそれを行うのが難しい場合、できない部分を手伝うのが「起き上がりの介助」ですね。
【ポイントは「連動」の復活】
一般的な人はサッと起き上がりますが、上半身は何十kgもある重いものなので、本来それを空中に持ち上げて起き上がる作業は、かなりの仕事です。
各部の筋肉など色んなパーツがしっかりしている上にそれらが「連動」する状態であれば自力で行えますが、それが出来なくなっているようでは、困難な動作になります。
集団スポーツでも会社組織でも、メンバー一人一人がしっかりした上で、「連動」できれば効率的に大きな力を発揮できますもんね。
体を動かす際も同じで、(主要な筋肉など)各パーツをしっかりさせることも大事ですが、それらを「連動」させないとバラバラで効率が悪く、結果的に大きな力を発揮できません。
「レナト式リハビリ」でご紹介している介助方法は、安全第一ではありますが、そのような「連動」が復活できるように促すものです。だから「リハビリの効果を入れた介助方法」というわけですね。
【連動の起点は、お腹(腹筋)】
「起き上がり動作の介助」で言えば、体の中心である「お腹(腹筋)」の収縮を促しながら行います。
本来、自力で起き上がる際にも「お腹」に力が入り「力の拠り所」になることで、周辺の筋肉たちが「連動」して行くので、それを自動的に再現しやすくする要素を介助に入れています。
説明だけではイメージがわきにくい場合は、ご自分で「お腹」と周辺に手をあてながら、起き上がり動作をやってみて下さい。
最初に「お腹」の筋肉が収縮し、その後に周辺の筋肉たちが「連動・連鎖」して収縮して行くのが分かりますよ。
ということは、介助してあげる相手の「お腹(腹筋)」が収縮しない状態での介助では、リハビリ(再構築)の要素がないため、いつまで経っても、ご本人は自力で再び起き上がれるようになる要素が乏しいということになりますね。