第198号:レナト式リハビリのフロー102:片麻痺への対応13 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」8~

 

 

 

<第198号(2023.2.4)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第198号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー102

  「片麻痺への対応13 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』8~」



■編集後記:「体の声」を聴きながら





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■レナト式リハビリのフロー102

  「片麻痺への対応13 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』8~」

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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介しています。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

最近ではその具体的な対処方法のお話に入っており、前号からは下記の手順Cのお話に入りました。








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








今回は、上記Cのお話の続きで、「筋膜のゆとりを戻すとは?」というお話です。

服でも、生地の伸縮性や「ゆとり」がないと、腕を挙げた際にワキの辺りがビリっと破れてしまうように、

筋膜も「ゆとり」をなくしている部位が引っ張られると(破れないまでも)痛みを発して、体の動きを止めに来ます。

痛みを感じるのを本能的に避ける場合は、痛みが発生する手前までの可動性で動作しようとするので、硬くギクシャクした動きになりがちですね。








では、安全・カンタンに「疑似体験」をしてみましょう。

筋膜の「ゆとり」が乏しい状況を作り出して違和感を感じてもらい、その「ゆとり」を戻すとどれだけラクかを感じてもらう試みです

まず、ご自分の右手で普通にグー・パーをやってみて下さい。スムーズに指が開閉しますね。

次に、右の手首付近を左手で握り、肘の方向へ筋膜を(皮膚や筋肉も一緒に)グイっと寄せてみます。








その状態はつまり、右手の手首から先(指まで)の筋膜の「ゆとり」を乏しくさせた状態です。

その状態のまま、先ほどと同じように右手のグー・パーをしてみると、どうですか?

「抵抗感」というか、指の開閉のしづらさを感じますよね。

決して手首から先には触れていないのに、手指が動かしづらいし、手の甲にも違和感(ツッパリ感)があります。








実際、冬場に気温の低下で腕などの筋膜が縮こまっていると、上記の疑似状態と似た現象が起こります。

それなのに、いつも通り手指を使おうとすると、手首や指の腱鞘炎になったりする可能性がありますよ。

対応としては、そのつらい想いをしている手首より先の方へ「筋膜のゆとりを戻してあげてから」手指を動かす、ということです。

上記の疑似体験の場合は、右手首をつかんで肘の方へ引っ張っている左手を離せば、即座に筋膜のゆとりは戻りますね。








寒さや不動による影響で筋膜が縮こまっている状態だと、「ゆとり」を戻してあげる作業は、「比較的ゆとりがある部位から、乏しい部位へ寄せてくる」作業になります。

もちろん、寄せながら柔軟性も改善して行きます。服に例えるなら、伸縮性もゆとりもある状態に戻して(近づけて)行きます。

具体的な方法は書籍の方で書かせてもらっていますので、よかったらどうぞ↓



【関連書籍:筋膜のゆとりを戻してラクにしてあげる方法(他者に行う場合)】

https://no-pain-yes-gain.com/free/w16



【関連書籍:筋膜のゆとりを戻してラクになる方法(自分に行うセルフの場合)】

https://no-pain-yes-gain.com/free/w362








上記の概念で、他の部位でも筋膜のゆとりを戻してあげることが可能です。

例えば、腰付近のゆとりが乏しくて、起き上がり動作時に体幹を曲げられない(曲げようとすると腰の筋膜が引っ張られて痛い)などの状態にも対応でき得ます。

片麻痺で言えば、過緊張で曲がったままになっている麻痺側の腕や脚などに、筋膜のゆとりを寄せて来てあげてから、伸ばす作業を始めれば比較的スムーズなわけです。

次号では、具体例として、麻痺側の肘が曲がったままの場合、上記A~Cを具体的にどうやるかについてご紹介する予定です。






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■編集後記
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この時期は、寒さがガクっと1段階下がるのを感じます。

これまでと同じ上着を着ていても、私の体は無意識に縮こまり、熱を逃がさないように必死に対応しています。

この体を「丸める(縮こめる)」状態は、片麻痺の過緊張タイプの人に見られる状態と似ていると私は捉えています。

要因は異なれど、体としては、特定の筋肉の緊張を高めざるを得ないわけです。







寒くて縮こまっているのに、もし誰かが「早く行こうよ」と私の手や腕を引っ張ったら、どうなるでしょう?

縮こまっている筋膜が急激に引っ張られるので、私の腕のつけ根付近が痛みを発するでしょうね。

そして、「何するんだ。引っ張るなよ!」と、余計に縮こまって身を守ろうとするでしょう。

色んな人(リハビリ専門職やご家族など)の、片麻痺過緊張タイプの人への対応を観ていると、そういう逆効果なことをしているケースをチラホラ見かけます。







ご本人は痛がるし怒る、対応する人は困るし疲弊する。

そんなことが毎日繰り返されるのは、正直ゾッとします。

体は何をして欲しいのか、「体の声」を聴きながら対応する必要があるので、

私からの情報が少しでもお役に立てば幸いです。













最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172