第206号:レナト式リハビリのフロー110:片麻痺への対応21 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」16~

 

 

 

<第206号(2023.4.1)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第206号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー110

  「片麻痺への対応21 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』16~」



■編集後記:「共有率」を高めることは、あまりにも大事ですね。




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■レナト式リハビリのフロー110

  「片麻痺への対応21 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』16~」

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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介しています。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

最近ではその具体的な対処方法のお話に入っており、下記の手順Dに関するものに入っています。








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








前号では、麻痺側の握ってしまう「手指」を実際に伸ばす作業(上記D)に関してお伝えしました。

できるだけ相手がリラックスした姿勢で始めた方が良いので(上記A)、相手が寝た状態での想定でご紹介して来ましたが、

実際は施す人の忙しさ等、そこまで時間をかけられない場合もあるでしょうから、

今回は相手が腰かけた状態で麻痺側手指を伸ばす方法をご紹介します。








上記Aより、腰かけた姿勢を安定させます。

できるだけ広い面で体が支えられた方が体はリラックスしやすいので、体とイスとの隙間をクッションやタオル等で埋めます。

麻痺側の腕をテーブルや相手の太腿の上などに載せますが、相手の腕の高さは、高すぎても低すぎてもリラックスしづらい(特に、麻痺側の肩まわりが緊張してしまう)ので、適当な高さに調整して下さい。

テーブルなら高さを変えたり、相手の太腿の上に載せるなら、相手の腕と太腿との間にクッションやタオルなどを挟み、程よい高さに調整します。








次に、上記Bより、相手の体を軽く揺すってあげます。

その際、特に相手の体重がかかっている面(イスなら座面)に向かって少し圧をかける意識で揺すると効果的です。

テーブル等の上に相手の腕を置いている場合は、体幹を揺すった後→麻痺側の腕もテーブル上で軽く転がすように揺すります。

振動刺激により、相手の体の緊張は下がりやすくなるので、相手の体勢が崩れてしまわないよう注意して下さい。








さらに、上記Cより、可能なら体幹側から麻痺側の肘(内側)付近へ向けて「筋膜のゆとり」を寄せて来ます。

体幹部の筋膜も硬いと体幹も緩める必要がありますが、効率の良い緩め方は、書籍でもご紹介していますので参考にして下さい↓

【体幹の緩め方をご紹介した本】

https://no-pain-yes-gain.com/free/w16








そして、上記Dより、実際に麻痺側の手指を伸ばして行きますが、

前号まででご紹介した、「手首を曲げる」「手のひらを軽くこする」などの工夫も駆使して、優しく相手の手指を伸ばしてあげて下さい。

ちなみに、手のひら自体も硬い感じであれば、ほぐしてあげて、

「ぷにぷに」な柔らかさになった方が「こすり」効果は出やすくなります(感覚刺激が入りやすくなるので)。








いかがでしょうか?

文字で読むと大変そうに感じたかも知れませんが、実際にやってみると(慣れてくると)一連の作業として割とアッサリ行えますよ。

次号では、麻痺側手指に関して上記Eに進みましょう。

せっかく伸ばしても、また握ってしまう繰り返しでは、ご本人はもちろん介護者であるあなたも大変なので、戻りにくくする工夫(維持)のお話です。





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■編集後記
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私はスポーツ観戦が好きですし、例え話にも使いやすいので、よく野球やサッカーの話題を出します。

日本野球が国際大会で優勝したのと対照的に、その数日後に行われたサッカー日本代表の試合は混乱がひどかったようです。

伝え聞く範囲では、混乱の要因は、練習でやっていないことを試合中に監督が求め、それをメモ書きで選手に渡して伝えようとしたため、選手たちが混乱したというものらしいです。

野球の方は、監督の采配に選手も視聴者も「?」となる場面がなかった印象なので、両者の違いが浮き彫りになってしまった形ですね







相手との「共有率を高める大事さ」は、私もこれまで何度もお伝えして来ました。

そういうこともあり、(このメルマガはメルマガなので文字主体ですが)現在執筆中のリハビリ関連の新作では初めて、「動画」も加えてみようかなあ、と検討・方法の調査をしています。

過去に出版した書籍では絵を使っていましたが、動画もあった方がより分かりやすい(情報を共有しやすい)場面では、動画もアリかなあ、という気持ちになっています。

執筆作業の手間を考えると動画に手を出さない方が良いのですが(苦笑)、読んで下さる方との「共有率」を高めることが大事ですもんね・・・。














最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172