第202号:レナト式リハビリのフロー106:片麻痺への対応17 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」12~

 

 

 

<第202号(2023.3.4)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第202号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー106

  「片麻痺への対応17 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』12~」



■編集後記:あなたにとって「余分なもの」を捨て、豊かな人生を




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■レナト式リハビリのフロー106

  「片麻痺への対応17 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』12~」



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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介しています。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

最近ではその具体的な対処方法のお話に入っており、下記の手順Cに関するものを進めているところです。








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








最近は上記Cを具体的な体の部位に対して行う方法のお話に入っています。

前々号からは下半身でよく問題になる「(麻痺側の)開かない脚」に対して、

筋膜の「ゆとり」を寄せる方法に進んでいます。

介助をするご家族が「オムツ交換」などの際に本当に困るやつですね。







この場合、開脚を妨げるように縮こまっている(伸ばしたい)部位は主に「麻痺側太腿の内側」で、

そこに上(上半身から)と下(下半身)から筋膜の「ゆとり」を寄せて来ることで、

縮こまっている部位が伸び易い状態にします。

前号までは上半身からのアプローチでしたが、今回は下半身からのアプローチのお話です。







上半身の時と同じで、伸ばしたい部位とつながりが深い筋膜の部位を、下半身側からも緩めます。

伸ばしたい部位は麻痺側太腿の内側なので、そこよりも足先側の部位を緩めるわけです。

緩める具体的な部位としては、下腿(膝下~足首のこと)の内側と外側になります。

太腿の内側と直接つながりが深いのは下腿の内側なのですが、外側も緩める方がスムーズです。








まずは下腿の内側ですが、指で探ってみると骨があり、縁がありますね。

ふくらはぎ側の縁に、前々号で肋骨下縁に指を入れたようなイメージで、指を優しく入れようとすると、

筋膜が硬い場合は指が跳ね返されるような抵抗感を感じますね。

その場合は、(肋骨の時と同様)優しく指をあて、数秒~数十秒で緩み始めるのを待ちます。








緩んで来たら、手の平を下腿内側にあて、太腿内側へ筋膜を寄せて行きたいのですが、

その作業をジャマしやすいのが下腿「外側」の筋膜の硬さです。

この仕組みは非常に大事なので、今回はこの説明を先にしておきます。

仕組みが分かった上で、次号で下腿の内側と外側を使って太腿内側を緩める方法に進みましょう。








人間の体は「立体」なので、極端な話、球体を思い浮かべてもらうと、この仕組みが分かりやすいです。

球体全体がタイツで覆われているとして、例えば右側のタイツを上に動かすと、

反対側の左側ではタイツが下へ引っ張られるのは分かりますね。

逆に言えば、左側のタイツが柔軟で、下へ寄ることができる状態でないと、右側のタイツが上に寄るのをジャマするわけです。








人体ではどこでも、こういう反対側との「綱引き」のようなことが起こっています。

人体は立体だから当然なのですが、そこを気にせず片側だけをほぐそうとしたり、ストレッチしようとするアプローチが世間では目立ちます。

両側をセットでやった方が理にかなっているし、効率も良いので、「レナト式リハビリ」ではそのような方法を採用しています。

書籍の中でも、緩めたい部位の「反対側もセットで」緩める方法を具体的にご紹介していますので、良かったらご覧下さい↓


【関連書籍:筋膜を緩めて、動作をスムーズにしたり、痛みを軽減・消失させる方法】

https://no-pain-yes-gain.com/free/w16





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■編集後記
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前号では「自分を補完する欲求(自己実現の欲求)をあきらめないで下さい」ということをお伝えしました。

今回は、「あなたにとって余分なものを捨てる」という、別な角度から人生を豊かにするお話をしてみます。

「捨てて豊かになるとは、これいかに?」という感じかも知れませんが、

動作能力が低下して困っているご本人、その人を介護しているご家族などの参考になれば幸いです。







仏師(仏像を作る職人)は、木を彫って仏様の形に加工するというよりは、

木の中にある仏様に対し、「余分な木」を削り落とすことで、この世に出て来てもらっているだけ、というお話を聞いたことがある人も多いでしょう。

また、スポーツ選手なども上達の過程で「自分に合わない教え」を捨てて行く、という作業が発生します。

この「余分なもの」に気づいて、「捨てる」という行動ができるかどうかが、その人の人生の「大きな分かれ道」と言っても過言ではありません。







世間にはあまりに多くの情報が溢れています。介護やリハビリの情報もしかりで、多くの人は振り回されやすいです。

「色んな人が色んなことを言うけど、結局ウチの場合はどうすればいいの?」と困ってしまいますね。

あなたの中に「余分なもの」が増えすぎると、本当に大事なものが分かりづらくなり、貴重な時間や体力などのロスが増えます。

それはまるで、家の中を断捨離しないと、探し物が見つかりづらくなってしまうようなものでしょう。








介護やリハビリで扱うのは人間の体です。人間の体は基本的に世界共通です。

ならば、「人間に共通する要素」にアプローチして、あとは個々のニーズに応じて、プラスアルファとして対応する方が合理的ですね

もし何らかの事情で、頼れる専門職にお願いできていない場合は、とりあえず「人間に共通する要素」をおさえておいて損はないです

「レナト式リハビリ」がユニバーサルなリハビリである理由は、「人間に共通する要素」にアプローチしているからです。











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172