第190号:レナト式リハビリのフロー94:片麻痺への対応5 ~上体自体が横に傾くケース2~

 

 

 

<第190号(2022.12.10)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第190号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー94

  「片麻痺への対応5 ~上体自体が横に傾くケース2~」



■編集後記:「よかれと思って」を封印してみて下さい





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■レナト式リハビリのフロー94

  「片麻痺への対応5 ~上体自体が横に傾くケース2~」

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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連に入っています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介して行きます。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、ご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








現在は上記1のお話の途中です。「骨で効率よく体を支えた方が筋肉はラク」ということに続き、

腰かけた姿勢で体が横に傾いているケースを大きく2パターンに分けると、以下のようになるということもお伝えしました。

A)土台(骨盤)が水平でなく、その上に載る上体が傾いてしまう場合

B)土台(骨盤)は水平だが、その上に載る上体自体が傾いている場合

Bには2通りのパターンがあり、前回は「左右ウエストの筋肉の、弱い側へ上体が傾く場合」についてお話ししました。

今回は、もう一つのパターンである「左右ウエストの筋肉の、強い側へ上体が傾く場合」についてお伝えします。









左右のウエストの筋肉のうち、どちらかだけを強く収縮させると、上体がそちらへ傾きます。

これはご自分の体でもカンタンに試せますので、腰かけた姿勢や立った姿勢で実感してみて下さい。

仕組みとしては、通常は「ウエストの筋肉に左右差がない=上体を側方へ傾けるように引っ張る力が釣り合っている状態」なのに、

左右どちらかのウエストの筋肉が弱くなると均等が崩れ、強い側へ上体が引っ張られて傾くわけです。








これは決して珍しいケースではなく、片麻痺でない高齢者でも時々見かけます。

確かめるのもカンタンで、ウエストの筋肉を触って左右差をみるだけです。

触れば筋肉のボリュームや弾力感に差があるので、すぐ分かりますよ(強い側はパンと張っているのに対して、弱い側は痩せてフニャっとしています)。

ウエストの筋肉の触り方や対応するカンタンなリハビリなどは以下を参考にして下さい↓

【関連書籍:ウエストの筋肉が弱いとどうなるか、しっかりさせるカンタンな方法などに関して】

https://no-pain-yes-gain.com/free/w115481576141600600412








A・Bいずれの要因にせよ、上体が傾いていると、上体の重さを背骨で効率よく支えられず、

その分、周辺の筋肉などが肩代わりさせられます。

ムリした上に(ほぐしたりしてもらえず)放置された筋肉たちは硬くなりますので、

体のゆがみを強め(固定化し)、さらにツラい姿勢になったり、体の緊張をさらに高めて「悪循環」に陥ります。








「(片麻痺の)麻痺側の指が開かない」とか「麻痺側の肘が伸びない」といって、

ムリに伸ばそうとしても、体がその「悪循環」の状況では、いかにも伸びなさそうですよね。

その場合は「急がば回れ」で、まずは体をできるだけ左右均等な状態に戻してあげましょう。

骨で支える割合が増えれば、その分、肩代わりさせられていた筋肉は解放されてリラックスできるので、

過緊張な体全体もリラックスしやすくなり、指や肘も伸ばしやすくなる「準備が整います」よ。








そういう手順を踏まず、いきなり伸ばそうとするのは上記の「逆効果」にあたります。

「よかれと思って」伸ばそうとしてあげるのに、かえって縮こまらせてしまうわけです。

なぜそうなるのか、次回からは、その仕組みなどについてご紹介して行く予定です。

脳卒中後遺症の人は特に、ご自分で「悪循環」から抜け出すのは困難なので、周囲の人が間違ったアプローチで悪化させることは避けましょう。








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■編集後記
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私は「よかれと思って」というセリフがキライです。

相手のことを想って何かしてあげた、と本人は思っているのでしょうが、

相手のニーズを確認して、そこに過不足なく合わせてあげる意識がないことがキライです。

相手のニーズに関心がないだけでなく、「自分がこうしたい」という欲求を満たす方を優先している可能性が高いです。







介護やリハビリの分野でこれをやってしまうと、どういうことになるでしょうか?

これまでもメルマガでご紹介して来た通り、「相手本位」が基本の分野なので、

「自分本位」なアプローチをしてもうまく行かないだけでなく、「逆効果」や「悪循環」を引き起こしかねません。

最近ご紹介している片麻痺分野では、なおさらそういう状況になりやすいです。







脳卒中の影響で失語があると、「こうして欲しい」「それはやめて」という意思表示を言葉で出来ないため、

仕方なく暴力のような形で表現する人も中にはいます。

そんな相手への対応に途方に暮れてしまうご家族もいるでしょうが、やはり「相手本位でやれているか」を見直して欲しいです。

見直すポイントが分からないなら、このメルマガや私の書籍などがお役に立てば幸いです。









最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172