手の指が、左右非対称(握ったまま)
脳卒中後遺症・片麻痺で非常によくある現象が
「麻痺側の指が、握ったままになる」という
ものです。放置しておくと開けなくなりそう
なので、ご本人もご家族も伸ばそうとするの
ですが、うまく行かないことが多いですね。
片麻痺(過緊張タイプ)で関節が勝手に曲がっ
てくる現象に関しては、「腕が、左右非対称」
のところで、関連動画を通してカンタンに説明
させてもらったので、そちらをご覧下さい。
指を伸ばすのも「急がば回れ」で、体の余分
な緊張を取り除くことから始めると、結局は
最短時間・最少労力で伸ばせることにつなが
ります。
麻痺側の体は(麻痺の程度にもよりますが)、
ベッドなどに接していても、感覚の麻痺もある
ため「あまり感じられていない」状態です。
かなり極端に例えれば、ベッドに仰向けになっ
ていても、麻痺側の半身はベッドの外(空中)
にあるようなものです。
体(脳)としては麻痺側の半身を頼れず「不安
定さ」を常に感じてしまい、「不安定だから
緊張する」→「緊張すると感覚情報が余計に
入りにくくなるため、更に緊張する」という
「悪循環」にハマりやすくなります。
※一般の人でも、心身ともに緊張していると、
周囲の人が話しかけても聞こえていない(聴覚
の感覚情報が入りにくい)状態になることが
ありますね。リラックスしていないと、感覚
情報は入りにくくなります。
話を麻痺側の握った指に戻すと、まずは、全身
的に余分な緊張をできるだけ取り除いてあげて
握り方がどう緩むかみてあげると良いです。
体の緊張を下げるのに有効でカンタンな方法の
一つは、軽く「ゆすってあげる」ことです。
「振動刺激」で体の緊張がゆるむ経験は、
誰しもありますもんね↓
【関連動画】
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※画像のクリックで動画へ移動します↓
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↑ バスや電車に揺られると、いつの間にか 緊張が下がって眠ってた・・という経験 は誰しもありそうですね。それを相手の 体に再現するだけです
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軽い振動刺激で全身的に力みを軽減したり、
ベッド上であれば、麻痺側の腕を(丸太を
転がすように)軽くゆすってあげたりすると、
指は開きやすい状態に近づきます。
「大→小」へ進めるイメージで、大きな体全体
から→小さな手付近へ作業を進めます。具体的
には、麻痺側の掌を(ハンカチや指で)軽く
こすると更に伸ばしやすい状態になりますし、
いざ指を伸ばす時には、手首を曲げてから
(反らせるのと反対方向)、指を伸ばす方が
痛みや抵抗感が少なく伸ばしやすくなります。
指を握ったままで長期間過ごした後だと、関連
する色んな部位が縮こまって、伸ばすのが非常
に困難な場合があるので、できれば毎日、
マメに伸ばしてあげるといいですね。
理にかなった順番で優しい刺激を入れる分に
は、指は素直に伸びてくれる可能性が高まり
ますが、そういうことを気にせず、無理に
グイグイ伸ばそうとすると、体は「防御反応」
として余計に力み、更に伸ばしにくくなる
(逆効果になる)可能性があるので、要注意
です。痛みが出て、ご本人が「拒否」する
可能性も高まってしまいます。
【関連動画】
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↑ 童話の「北風と太陽」のようなものです。
グイグイ伸ばそうとする刺激は、片麻痺の 体にとっても(誰にとっても)「北風」に なってしまいますね
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