第222号:レナト式リハビリのフロー126:片麻痺への対応37 ~筋緊張が不足して支えが弱い人への対応9~

 

 

 

<第222号(2023.7..22)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第222号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー126

  「片麻痺への対応37 ~筋緊張が不足して支えが弱い人への対応9~」



■編集後記:自立に近づくほど、長く楽しめます




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■レナト式リハビリのフロー126

  「片麻痺への対応37 ~筋緊張が不足して支えが弱い人への対応9~」


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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








ここしばらくはずっと、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺でない一般の高齢者などにも当てはまる要素が少なくないので(人間の体は基本的に同じ構造ですし)、

片麻痺でないケースにも参考にしてもらえると嬉しいです。

いつの間にか点と点が線になって理解が深まって来ると、同じ事柄への対応でも楽しくなって来ますよ。









最近は片麻痺の中でも「筋肉の緊張が不足して(体を支えにくくて)困る」ということに対して、どう出来るかというお話に進んでいます。

前提としては、「完全な弛緩麻痺」は除きます。

対象としては、筋肉の緊張がゼロではないが、何割かは低下しているケースです。

それを高めて必要な緊張に近づけたい(その結果、体を支える部位が必要な仕事を果たして欲しい)場合にどうするか、というお話になります。









概要を振り返ると、以下のようなアプローチはご家族もやれますよ、ということでした。

1)腹筋(ここが仕事してくれないと、全ての動作が不安定になります)

2)お尻まわりの筋肉(ここがフニャフニャだと、腰かけると体がゆがむし、立っても上体の重さを支えにくいです)

3)ウエストの筋肉(ここが低緊張だと、上体が横に傾きやすくなります)








前号までは、上記1の「腹筋」のお話をしていました。今回からは2の「お尻まわりの筋肉」に入ります。腰かけた際に土台になる大事な部位ですね。

片麻痺の人によくあるのは、麻痺側のお尻まわりの筋肉が痩せてフニャフニャになっている状態です。

直接的な麻痺の影響もあれば、体が無意識に麻痺側への荷重を避けるために、支える仕事が乏しくて更に痩せる二次的な影響もあり得ます。

そうなると、尚更麻痺側のお尻に体重を載せにくい状態になるので尚更使わなくなる、といった「悪循環」をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。








これが片麻痺の人というか人間の活動にとって、大きな問題を引き起こします。

腰かけている場合では、お尻は土台になるため、麻痺側のお尻が痩せると土台が傾き、土台の上に載っている上体もゆがんで来ます。

ゆがんで来ると痛みも出やすいですが、過緊張タイプの人なら尚更全身が硬くなりやすく、

動作しようにも(麻痺だけでなく)体の硬さがジャマしやすくなります。








立っている場合では、重い上半身を支える主役級の仕事をする部位が「お尻まわりの筋肉」なので(そのために生まれつき大きく設計されていますね)、

麻痺側のお尻が痩せてフニャフニャになると、麻痺側では重い上半身を支えられない=上半身の落下=転倒となりやすいです。

麻痺の影響以外に、支えるべき部位が「物理的に」弱くなることで「物理的に」支えられない状態になるわけですね。

歩行や(移乗などの)方向転換では片脚ずつ荷重しながら動作するのに、麻痺側に荷重できないとなると動作が成り立ちません。








ただ、脳卒中後遺症の片麻痺は基本的に「神経のルート」にトラブルが起こっている状態なので、

筋肉自体には問題がない場合が多いです(もちろん、あまり使わない状態で長期間放置すると問題が起こり得ますが)。

ならば、筋肉自体にアプローチしてやって、筋肉の特性を活用するような方法なら、

麻痺側の筋肉でもボリュームや弾力感が増し、荷重できそうな「しっかりしたお尻」になって来る、というわけです。









次回からは、実際の方法に進みましょう。

お尻を「トントンするだけ」なので、拍子抜けするくらいシンプルな方法です。

重い上半身を支えるという大きな仕事をするために、お尻まわりの筋肉は生まれつき大きく設計されています。

そこが痩せてフニャフニャでは、「こう動くように出来ている」という前提が崩れてしまうので、動きにくくて当然ですからね。










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■編集後記
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先日、栃木の那須に泊まる機会がありました。

宿は台所がついたコンドミニアムタイプで、スタッフがいるような受付もなく、部屋内の端末でチェックインする方式でした。

労働者不足の今後は、増えるかもしれないタイプの宿ですね。

ただ、有人の「おもてなし」は無いけれど、自分たちの裁量で色々楽しめる自由さは良かったです。







何事にも共通要素はあるもので、一見無関係そうな「宿」と「介助レベル」にも共通要素はあります。

食事の用意など相手が全てやってくれるタイプの宿は、いわば「全介助」でしょうし、

コンドミニアムなど自分がある程度やるタイプの宿は、「一部介助、部分介助」という感じでしょうか。

まったく全て自分でこなす宿(キャンプなど。自宅もそうですが)は、「自立」ということになりますね。







どのレベルだから良い悪いという話ではないのですが、全介助状態に近い方がコストがかかることも共通していますね。

「費用はいくらかかっても構わない」という人は別ですが、多くの人はやはり自立を目指した方が自由度が高いし、長く楽しめそうです。

リハビリはご本人を自立レベルに近づけるもの(その分、ご家族の介護負担などを減らして行くもの)です。

できるだけ長く人生や在宅生活を楽しみたいなら、自立に向かって行けるといいですね。










最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172