第210号:レナト式リハビリのフロー114:片麻痺への対応25 ~足首が曲がっていると何が困るか1~

 

 

 

<第210号(2023.4.29)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第209号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー114

  「片麻痺への対応25 ~足首が曲がっていると何が困るか1~」



■編集後記:外出に良い季節になって来ましたね




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■レナト式リハビリのフロー114

  「片麻痺への対応25 ~足首が曲がっていると何が困るか1~」



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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








ここしばらくはずっと、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺でない一般の高齢者などにも当てはまる要素が少なくないので(人間の体は基本的に同じ構造ですし)、

片麻痺でないケースにも参考にしてもらえると嬉しいです。

いつの間にか点と点が線になって理解が深まって来ると、同じ事柄への対応でも楽しくなって来ますよ。








前号までで、麻痺側の曲がりやすくなってしまう部位(手指や足首など)への対応のお話はひとまず終わりましたが、

今回からはその関連として、「(麻痺側の)足首が曲がってしまうと、具体的に何が困るのか」ということをお伝えします。

手指や肘など、どの部位も曲がったままだと困るのですが、足首は特に困るので優先的に取り上げます。

足が床や地面にフィットしてくれないと、うまく体重を載せられないですからね。








片麻痺過緊張タイプの場合、足首の曲がりは大きく分けると2方向あります。

1)内側に曲がってしまう場合

2)足先を下げるように(つま先立ちのように)曲がってしまう場合です。

いずれも筋緊張の異常で生じますし、これまでお伝えして来た通り、より強い側の筋肉が前面に出た結果です。


【関連動画:より強い筋肉が前面に出てしまう仕組み】

https://www.youtube.com/watch?v=atL-wze-oaY&list=PL87Hh0oDQOdclnaYJOjpn-gSEZiZqfh5P&index=4









足首が曲がっていると特に困るのは、足に体重をかなり載せて行く場面です。

動作で言うなら、立ち上がりや方向転換、歩行などの場合ですし、

姿勢保持で言うなら、立った姿勢を安定的に取る場合などです。

いずれも片方の足首が上記1や2のように曲がっていると、非常に不安定なことになります。

足首の曲がり具合をマネしてみると実感できますが、その場合は手すりを使うなど、いつも通り安全に注意して下さい。








では、立ち上がり動作時に関するお話から始めましょう。

(介助の有無を問わず)ベッド上に寝ていた状態から起き上がり、ベッドに腰かけた姿勢までは来れたとします。

寝ていた状態では足首は曲がっていなかった(または、以前ご紹介した方法で戻せていた)のに、

起き上がったら足首がまた曲がってしまったということはあり得ます。








起き上がり動作で筋緊張は高まりますし、

寝ていた状態(広い面積で体を支えていた状態)から腰かけた状態(比較的狭い面積で体を支える状態)に変化したことでも、筋緊張は高まります。

また、麻痺側のお尻の筋肉のボリュームや弾力感が不足し、骨盤が傾いた状態で腰かけていると(骨で体の重さを支える割合が下がり、筋肉でムリに肩代わりしている状態だと)、

やはり筋緊張が高まり、麻痺側の足首が曲がりやすくなるでしょう








こういう時は、立ち上がり動作を急がず、まずは腰かけた姿勢を「整え」て、筋緊張をできるだけ適正な状態に近づけてあげましょう


【関連動画:体を左右均等にして行く方法】

https://www.youtube.com/watch?v=73zlhOujZSY&list=PL87Hh0oDQOdclnaYJOjpn-gSEZiZqfh5P&index=1


左右均等な姿勢に近づけてあげたところで、足首の緊張が(体を起こしてすぐの時よりも)適正に近づいたら、

相手の麻痺側の足の裏を優しく床に接地してあげて下さい。








ちなみに、足首が内側に曲がったまま立ち上がり動作をしようとすると、足首が痛いし捻挫しかねません。

足首がつま先立ちのように曲がったまま行う場合は、体が後ろに戻されるような力が働くので、立ち上がれませんね。

いつも言う「急がば回れ」はここでも大事です。各場面で「整える」ことが、次の場面で姿勢や動作を整えやすくすることにつながります。

その結果、結局は最短時間や最少労力で、ご本人が動作を、ご家族が動作介助を、行えることにつながりますね。








次号では、立ち上がった後の「方向転換」のお話をする予定です。

ベッドから車椅子への移乗の際には「方向転換」が必要ですが、その際には両足間の「体重移動」が必要になります。

それぞれの足に体重を移して行くので、麻痺側の足首が曲がったままでは体重を載せにくく、移乗がうまく行えません。

生活の中でベッドから離れた時間を確保するには、とても大事な要素になりますね。






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■編集後記
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GWが始まりました。

国内移動をする人も、国外へ移動する人も多そうです。

季節も良くなって来ているので、外出したくなりますね。

本文中に登場した「移乗」能力は、そういうところにも大きく関係します。







ベッドで「寝た切り」状態から離れるには、車椅子への移乗がしやすいことが大事です。

移乗(介助)が大変だと、ご家族の心身のコンディションが悪い時は、ご本人の離床の機会や頻度が減るかも知れません。

寝たきりの時間が増え、不動の状態が長くなるとご本人の体は硬くなり、更に介助を難しくさせます。

しかも、天井をずっと見ている生活だとご本人の認知面も低下しやすく、お互いに「悪循環」になりかねませんね。







逆は望ましいです。

理にかなったアプローチで、より介助負担が減り、ご家族の心身の健康が保たれやすい。

ご本人の離床機会も増えて、車椅子で外出など出来れば、季節の風や香りを感じて認知面にも好影響がありそうです。

本文に登場する「足首」ひとつ取っても、大きな違いが生まれます。丁寧にやって行きましょう。










最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172