第209号:レナト式リハビリのフロー113:片麻痺への対応24 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」19~

 

 

 

<第209号(2023.4.22)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第209号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー113

  「片麻痺への対応24 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』19~」



■編集後記:全体を捉える意識は、何事においても大事ですね




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■レナト式リハビリのフロー113

  「片麻痺への対応24 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』19~」


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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








ここしばらくはずっと、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介しています。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

最近ではその具体的な対処方法のお話に入っており、下記の手順Eに関するものに入っています。








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








前号から、麻痺側足首が内側に曲がってしまうことと、不良姿勢との関係のお話を(余談的に)始めています。


【関連動画:伸ばした手指などを、硬いもので保持しない方が良い仕組み】

https://www.youtube.com/watch?v=atL-wze-oaY&list=PL87Hh0oDQOdclnaYJOjpn-gSEZiZqfh5P&index=4


不良姿勢の中でも高齢者や片麻痺者によく見られる、「ずっこけ座り(仙骨座り)」との関連について掘り下げて行きます。








前号でお伝えしたように、一緒に収縮・弛緩した方が姿勢保持や動作がしやすい筋肉同士は、

「筋膜ライン」という概念でグループ化され、協働します。

逆に言うと、特定の(不良)姿勢を続けていると、ずっと縮こまっている筋膜ライン上にある筋肉はどれも、

縮こまりが固定化し、伸びにくくなりやすい、というわけです。








筋膜(ライン)でイメージしづらい場合は、服のシワでイメージしてもらっても良いです。

例えば、「ずっこけ座り」をしていると、服の前側などにシワが寄りますね。そのシワが固まってしまうと想像して下さい。

当然、曲がった状態の頭や体幹をまっすぐに伸ばそうとしても、固まったシワがジャマして伸ばしにくいですね。

胸の辺りのシワだけを伸ばしても、お腹の辺りや脚のつけ根付近のシワが固まったままでは、体は伸び切りません。








それと同じで、縮こまった筋膜(筋肉)も、筋膜ライン上の関連部位の縮こまりが放置されていると、

1か所だけ(局所だけ)を伸ばそうとしても充分に伸びなかったり、一時的に伸ばしてもすぐ戻りやすい状態です。

曲がった足首などせっかく局所を伸ばしてあげても、再び「ずっこけ座り」をさせていると、

またすぐ曲がりやすく、効率が悪くなりますね。








必ずしも「片麻痺=不良姿勢」ではありません。もちろん、麻痺や筋緊張異常の影響はありますが。

例えば、腰かけた座位なら、左右のお尻のボリュームや弾力感を「トントンして」均等化させ、

できるだけ背骨で上体の重さを支えられれば、筋肉が肩代わりして過緊張が悪化する必要はないですし、

不良姿勢が固定化することも起りづらくなります。


【関連動画:トントンするだけでお尻の筋肉をしっかりさせる】

https://www.youtube.com/watch?v=xxYTVsBDIM0&list=PL87Hh0oDQOddlrUTKub3gp7hUxgsd26uT&index=1







麻痺側足首の曲がりの話が出たついでに、

次号では、足首が曲がっていると何が困るかを具体的にご紹介します(リハビリの進行や日常生活において)。

立ち上がったり、移乗したり、歩いたりするのに、どういう影響があるかもそうですし、

過緊張タイプの片麻痺が悪化する要因にもなる仕組みなどをお伝えして行く予定です。







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■編集後記
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同じ世界を見ているようでも、俯瞰する高さが異なると、

全く違う印象を受けたり、感想になったりします。

例えば、プロ野球の試合ひとつ取っても、勝ち負けに一喜一憂する楽しみ方もありますが、

(先日のWBCのように)野球というスポーツの発展や、スポーツが出来ている平和な状態を楽しむことも出来ます。







決して、どの高さから見るのが良い悪いという話ではありませんが

低い所から見るほど「全体像」が見えにくくなるのは必然です。

「木を見て森を見ず」という言葉もあるように、何事においても大局を見ていないとロスが多くなりがちです。

ロスが多いと疲れますし、良い結果が伴いづらく、イライラもしやすくなります。







リハビリや介護もしかりで、相手の体の局所的なことや、対処スキルの1側面などをどうしても見やすくなりがちですが、

俯瞰する高さを変えて、できるだけ「全身的に・全体的に」相手を捉える意識を持ち続けて下さい。

体だけをとっても各パーツは関連し合っていますし、体と心もつながっています。

さらに言えば、相手とあなたの意識も関連し合います。

一つひとつの要素は「分離したものではない」という意識で取り組んでもらえると、

あなた自身もだんだんラクになって来ますよ。











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172