第205号:レナト式リハビリのフロー109:片麻痺への対応20 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」15~

 

 

 

<第205号(2023.3.25)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第205号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー109

  「片麻痺への対応20 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』15~」



■編集後記:行為はシンプルでも、水面下の量と質で違いが出ます




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■レナト式リハビリのフロー109

  「片麻痺への対応20 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』15~」


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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介しています。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

最近ではその具体的な対処方法のお話に入っています








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








前号からは(ようやく)上記Dの「実際に伸ばす」作業に入っており、

麻痺側の握ってしまう「手指」を優先的に取り上げています。

ムリヤリ指を伸ばそうとしても逆効果ですし、ご本人も痛がって信頼関係にも影響しかねないため、

理にかなった方法で優しく伸ばしてあげましょう。








前号では、麻痺側の手指を伸ばしやすくするために「手首の曲げ」を利用することをお伝えしました。

今回は、ここまでやってもまだ伸ばしづらい人に対し、さらに「もうひと工夫」する方法をご紹介します。

結論から言うと、相手の麻痺側の手のひらを「軽くこする」だけです。

タオルのような物でこすってもいいし、慣れればあなたの指でこすってあげることも出来ます。








仕組みとしては、「軽くこする=手のひらから感覚刺激を入れる=環境と筋緊張がマッチするよう誘導する」というものです。

ざっくり説明すると、麻痺側の手足などは感覚にも麻痺があるため、環境認識が乏しくなります。

「環境認識が乏しい=自分がどういう状況に置かれているか分かりにくい」ということですから、防御的に緊張が増しやすくなります。

これは片麻痺の人に限らず、例えばあなたでも、言葉が分からない人々の中に放り込まれたら、心身ともに緊張を高めてしまうようなものです。








その例で言うなら、「軽くこする」行為は、誰かがあなたの分かる言葉で話しかけてくれるようなものです。

あなたは「やっと言葉が通じる人が現れた」と少しホッとして、心身の緊張が下がりますよね。

「緊張が下がる=緩む=体は拡がる方へ動きやすくなる」というわけです。

ちなみに逆は「緊張が高まる=縮こまる=体は丸まる方へ動きやすくなる(手指なら握る方向へ)」ということですね。








この「軽くこする」作業は、あまりにカンタンに出来てしまうので

相手が腰かけた状態のままで、相手の手指を伸ばす際にも使い勝手が良い方法です。

本当は相手の体はできるだけリラックス状態で行うのがベターなので、寝た状態が望ましいですが、

ご家族の忙しさ等、何らかの理由で相手が座ったままの状態で手指を伸ばしたい状況も多いでしょうから、その方法は次号で(復習的に)ご紹介する予定です。






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■編集後記
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野球の世界大会で日本が優勝しましたね(祝)。

スポーツは全般に行為自体はシンプルなことが多いですが(野球の打者なら、打って走る、とか)、

その水面下(分数で言うなら分母)の量と質によって、行為が効果的かどうか変わって来ます。

例えば、野球の守備で言えば、行為自体は打球をキャッチすることですが、「なぜ守備位置をそこにしていたのか」というのは分母の経験・知識量や分析力・センスなどが問われるわけです。








リハビリでも同じことが言えます。治療者にもよりますが、一般的にベテランになるほど行為自体はシンプルになります。

なのに、とても効果的。それはやはり分母の量と質が異なるからです。

苦しく大変なリハビリを求める一部の利用者さんには、シンプル過ぎるものは好みではないかも知れませんが(苦笑)、

レナト式リハビリがユニバーサル且つ「拍子抜けするくらいシンプルな方法」なのは、そういう理由だからです(^O^)/












最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172