第204号:レナト式リハビリのフロー108:片麻痺への対応19 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」14~

 

 

 

<第204号(2023.3.19)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第204号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー108

  「片麻痺への対応19 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』14~」



■編集後記:「思い込み」は、野球の普及もリハビリの普及も阻害し得ます




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■レナト式リハビリのフロー108

  「片麻痺への対応19 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』14~」


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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介しています。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

最近ではその具体的な対処方法のお話に入っており、下記の手順Cに関するものを進めているところです。








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








最近は上記Cを具体的な体の部位に対して行う方法に関してお伝えして来ましたが、

今回からは(ようやく)上記Dの「実際に伸ばす」作業に入って行きます。

前回まで(上記Cまで)は伸ばす前の「準備」だったわけですが、

それらをしないでいきなり伸ばそうとすると、過緊張タイプの片麻痺では逆効果になってしまうので、先にご紹介しました。








今回からの実際に伸ばす作業において、最優先で取り上げる部位は「手指」です。

麻痺側の手指は握ったままになりやすく、この対応に四苦八苦されているご本人やご家族が多いですもんね。

ただ、手指を伸ばしたい時、手指だけに注目しがちですし、労力的にもアプローチを手指に限定したくなりますが、

(体幹や腕など)より大きな部位の緊張を下げてからの方が手指も伸ばしやすくなるので、「急がば回れ」の精神がやはり大事になりますね。








今回は相手が寝た状態の想定のお話をします。その方が上記A~Cの効果を反映しやすいからです。

寝た状態でのお話が終わった後に、相手が腰かけた状態でサッと行いたい場合にどうするか、などのお話へ進みましょう。

では、レナト式リハビリではよくやる(笑)、「あなたの体で疑似体験」から始めます(あなたは腰かけたままでもOKです)。

情報だけ伝えられても「ふーん、そうなんだ」で終わりやすいので、疑似体験とは言え、ご自分の体で感じるのは大事ですね。








結論から言うと、握ったままの麻痺側手指を伸ばすには、上記A~Cを整えた後に麻痺側の手首を手のひら側に曲げると手指は伸ばしやすくなります。

疑似体験としては、以下のような手順になります;

1. あなたの左手が麻痺側だと想定して、あなたの左の手でグーパーをして、指がスムーズに伸びることを確認して下さい。

2. 次に、左手はグーの状態をキープし、右手の手のひらを左手の前腕(手首~肘の部分)の腹側(手のひらを見る際に同じく見える側)の肘寄りの部分に押し当て、筋膜を(皮膚や筋肉と一緒に)肘側へ寄せます。

3. その状態で指を伸ばそうと(パーをしようと)してみると、「抵抗感」があることを確認して下さい。

4. 最後に、(右手の操作と、左手のグーはそのままで)左の手首をまねき猫のように手のひら側へ曲げ、手指を伸ばすとスムーズに伸びることを感じてみて下さい。







いかがでしたか?

手の指を曲げる筋肉の多くは肘付近の骨に付着しているので、

右手の操作によってそれらが伸びにくい(その結果、曲がった手指が伸びにくい)状況を作り出しています。

ところが、その状況であっても、左手の手首を(まねき猫のように)曲げるだけで、左手の指は伸ばしやすくなりましたね?








この仕組みはシンプルですし、人間の体に共通した構造です。

肘付近から指に向かって伸びている(手指を曲げる)筋肉の長さは、手首を曲げていない時よりも曲げている時の方が短くて済むので

筋肉(や筋膜)に「ゆとり」ができるからです。

筋肉をゴムに例えると、ゴムが引っ張られる距離が短くて済むので、ゴムに「ゆとり」が出来るわけですね。








実際に片麻痺の相手に施す場合は、上記A~Cを整えた後に、

麻痺側の手首をそろっと曲げてから、麻痺側の手指を優しく伸ばしてあげると良いでしょう。

これでもまだ指が伸ばしにくい場合は、さっと出来るカンタンな工夫もあるので、次号で取り上げる予定です。

相手が腰かけた状態でも使える工夫なので、便利ですよ。







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■編集後記
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日本では、野球の世界大会が盛り上がっています。

ただ世界的に盛り上がっているとは言い難く、欧州やアフリカ、オセアニアや南米では野球自体が話題にすらならないことがよくあります。

なぜそれらの地域で野球が普及していないのか(人気がないのか)には諸説ありますが、

「サッカーほどカンタンに始められないから」という説はよく耳にします。







サッカーはボールが一つあれば(ボールがなければ布を丸めてでも)行うことが出来ます。

場所も、家の中や狭い路地でも出来ます(規模を小さくすれば)。

ところが、野球の場合はボールやバット、ヘルメットなど道具が多い上に、広い場所と一定の人数がないと出来ない、というのがこの説の根拠なのでしょう。

確かに一理あるのですが、本当にそうなのでしょうか?








私が子供頃、学校の休憩時間に廊下の隅で野球ごっこをして遊んでいましたが、それらの道具はありませんでした。

ボールはピンポン玉、バットは自分の腕か本を丸めたもの、グローブ(ミット)に至っては学校の帽子をうまく丸めて使っていました

打者とバッテリーだけの想定で遊ぶなら、これでも充分楽しめたので、上記の野球が普及しづらい理由は実はたいしたことではないのかも知れません。

野球の楽しさなど本質的な部分を、現地の人でもやれる形で伝えれば、展開が変わる可能性は充分あり得ます。








何事でも「思い込み」があると、自ら可能性を捨ててしまいがちです。

「道具がないと出来ない」「場所がないと出来ない」は・・・「専門職がいないとリハビリが出来ない」「介護以外、私にできることはない」という思い込みにも通じるものがあります。

「自力で介護量を減らせる可能性」が誰にでもあるのに「思い込み」のせいで見えづらくなっているのであれば、

「あなたも出来ますよ」という情報を分かりやすく誰にでも出来る形でお伝えするのは、超高齢社会ではとても大事なことなのでしょうね・・・一つ一つ、やらせてもらいます。









最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172