第203号:レナト式リハビリのフロー107:片麻痺への対応18 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」13~

 

 

 

<第203号(2023.3.11)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第203号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー107

  「片麻痺への対応18 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』13~」



■編集後記:暖かくなり、高齢者の姿が増えて感じる危険




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■レナト式リハビリのフロー107

  「片麻痺への対応18 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』13~」


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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連のお話を進めています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介しています。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

最近ではその具体的な対処方法のお話に入っており、下記の手順Cに関するものを進めているところです。








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








最近は上記Cを具体的な体の部位に対して行う方法のお話に入っています。

前々号からは下半身でよく問題になる「(麻痺側の)開かない脚」に対して、

筋膜の「ゆとり」を寄せる方法に進んでいます。

介助をするご家族が「オムツ交換」などの際に本当に困るやつですね。







この場合、開脚を妨げるように縮こまっている(伸ばしたい)部位は主に「麻痺側太腿の内側」で、

そこに上(上半身から)と下(下半身)から筋膜の「ゆとり」を寄せて来ることで、縮こまっている部位が伸び易い状態にします。

上半身からのアプローチ(横隔膜付近をゆるめる)は既にご紹介し、下半身からのアプローチのお話に入っています。

具体的には、下腿(膝下~足首)の内側の骨の縁付近の筋膜をゆるめるところまでお伝えしました。








この時点で麻痺側の下肢が(閉じようと力まずに)開いてくれるならもうOKです。オムツ交換などに活用できます。

一方、「まだ麻痺側の太腿内側の力が抜け切れていない」と抵抗感が残っているようであれば、

下腿からの筋膜の「ゆとり」をもう少し太もも内側へ寄せて(送って)あげましょう。

以下のようなシンプルな方法で寄せられます。慣れればこれもカンタンですよ。








ここでは相手が右麻痺だとして、相手の右太もも内側へ筋膜の「ゆとり」を右下腿から寄せるとします。

あなたの両手を、相手の右下腿内側と外側を挟むようにあて、内側にあてた手(右手)は太もも内側の方へ寄せるように動かし、

外側にあてた手(左手)は逆に足裏に方へ寄せるように動かします(井戸の「つるべ」ような動きになります)。

筋膜は全身タイツのようなものなので、下腿外側の筋膜が足裏の方へ寄らないと、下腿内側の筋膜は太ももの方へ寄りづらくなります









下腿内側・外側のどちらから(または同時に)やった方が良いかは実際に比較してもらうと良いでしょう。

おそらく、外側から「ゆとり」を足裏(更には足裏を経由して下腿内側の方へ)寄せ、その「ゆとり」内側が引き継で太もも内側へ寄せるイメージで行う順番の方が効率が良いです。

「ゆとりをリレーして行く」イメージと言っても良いかも知れません。

人体は「立体」なので、こういう作業になるわけですね。









下腿外側や足裏などが硬い場合は、それらをほぐしながらやってもらうと、

よりスムーズに「寄せのリレー」がしやすくなります。

こうして、上半身・下半身それぞれから筋膜の「ゆとり」を寄せて、麻痺側太ももの内側で合流させると、

頑固に力んでいた麻痺側太ももの内側の力がスルーっと抜けて、脚が開けるようになることが多いです。









それまで筋膜のゆとりがないから尚更縮こまって身を守っていた(断裂しないように頑張っていた)太もも内側の立場としては、

「あれ? こんなに筋膜のゆとりが出来たのか。じゃあ、ゆるんでいいね」という感じになるイメージです。

ムリに脚を開こうと(伸ばそうと)しても逆効果になりがちだけど、自らゆるみたくなる状況にしてあげたわけです。

まるで童話の「太陽と北風」です←「レナト式リハビリ」はそういうのが多いですね(^O^)









ここまで(上記のA~Cまで)は、片麻痺過緊張タイプの人が力んで曲げてしまっている関節を伸ばす「準備」でした。

次号からは、いよいよ実際に伸ばす作業に入ります(上記Dです)

特に「握ったままの手指」などに困っているご家族は多いので、

カンタンな工夫で伸ばしやすくなる方法などをご紹介する予定です





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■編集後記
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暖かい日が多くなり、屋外で高齢者を見かける機会が増えています

近所のスーパーマーケットにも多くの高齢者が買い物に来ていますが、

私自身が感じるのは、「高齢者の通行は危険が多いなあ」ということです。

前提としては、歩行がゆっくり且つ不安定、周囲の状況を確認せずに動こうとするタイプの高齢者です(そうでない人も勿論います)







動きが不安定な人がシルバーカーなどを使っている場合、方向転換などに一定の床面積が必要です。

しかし、日本のスーパーは一般的に、あまり通路が広くありません

ゆっくり方向転換をしている高齢者のわきを、これまた周囲を確認しない子供が駆け抜けたりする場面を見かけるとヒヤっとします。

素早く動き回れる若年~中高年の人も、商品棚に気を取られて、通路の高齢者を観ていないことが少なくないので、これも危険を感じます。







仮に衝突事故が起きて両者とも転倒したとしても、大ケガしやすいのは(骨が弱くなっている可能性が高い)高齢者の方でしょう。

超高齢社会である日本では、おそらく今後アチコチで、この手の事故が起こりかねません。

周囲をよく確認しない人に「確認しよう」と言っても現実的でない可能性が高いので、

高齢者でも転倒しづらい体、転倒しても骨折など大ケガになりにくい体にしておくのが良いかも知れませんね↓


【関連動画:お尻の筋肉をカンタンに増やし、天然のクッションにする方法】

https://www.youtube.com/watch?v=6Bul9GffmwA&list=PL87Hh0oDQOdeJGeEkLxHw-3VliJkyC3aC&index=2











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172