第195号:レナト式リハビリのフロー99:片麻痺への対応10 ~伸ばそうとして縮こまらせる「逆効果」5~

 

 

 

<第195号(2023.1.14)>

 

 

 


 

☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 


発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第195号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー99

  「片麻痺への対応10 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』5~」



■編集後記:病体では、たたかえない





_______________________

■レナト式リハビリのフロー99

  「片麻痺への対応10 ~伸ばそうとして縮こまらせる『逆効果』5~」

_______________________



今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「脳卒中後遺症(片麻痺)などの悪化を防ぐ」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w186








最近は、レナト式リハビリのフローの中でも、「片麻痺」関連に入っています。

片麻痺自体は脳卒中後遺症ですが、それを通して一般の高齢者のリハビリにフィードバックできる要素が沢山あるので、

片麻痺への対応と併せて、色々とご紹介して行きます。

上記URL内に書き切れなかった関連情報なども、このメルマガでご紹介して行く予定です。








今回も、ご家族がやれることの復習からスタートです。

麻痺自体のリハビリ治療は、専門職の出番です。ご家族ができ得るものとしては、ざっくり以下のようになります↓

1)本来の「安定の柱」をつくり、リラックスすべき所をリラックスさせてあげる(ほぐすなら、その上でほぐす)。

2)逆効果(過緊張の悪化や、それによる体のゆがみ・痛みの増大、動作能力の低下など)になることを、ご本人にしない(させない)。








最近は、片麻痺で曲がってしまう手指や肘などに対して、よくあるケースへの対応に関してご紹介しています。

「伸ばして(ほぐして)あげたいのに、逆に縮こまらせてしまう(逆効果な結果になる)」ことが多いことはお伝えしました。

仕組みと手順を覚えれば、どなたでも出来ますし、「再現性」があるので何度でも行えますよ。

前回からはその具体的な対処方法のお話に入っており、今回も下記の手順Bを少し掘り下げたお話になります。








以下も復習です。伸ばしたい部位は色々あるでしょうけども、共通する手順は以下のようになります↓

A)セッティング(相手の体を安定させる)

B)軽く揺する(緊張を下げる)

C)筋膜の「ゆとり」を、伸ばしたい部位に寄せて来る

D)指や肘、脚など、伸ばしたい部位を伸ばす

E)伸ばした部位が戻りにくいよう保持する








前号では、効率よく相手の体を揺するコツをいくつか(強さ、手を置く部位と揺すり方、相手の体が緩んだシグナルなどを)ご紹介しました。

それら基本的なコツに加えて、今回は少し専門的なコツをお伝えします。

相手の体を軽く揺する際に、あなたの意識を「ある所」に向けてもらうだけです。

まったく難しくないので、安心して下さい。








「ある所」とは、相手の体が座面やマットレスなどと「接している面(支持面)」です。

仮に、相手がベッド上で仰向け(天井向き)に寝ているなら、相手の体が敷布団やマットレスなどに接している広い面を意識します。

そして、相手の体を軽く揺する際に、その広い面に向けて「ほんの少し圧をかけて」揺すると、

相手の体の緊張(筋緊張)が過剰な場合は、よりスムーズに下がります(適正方向に向かいます)。








この仕組みは、以下のようになります。

相手の脳に「あなたの体は広い面積で支えられていますよ」「だから、リラックスして大丈夫ですよ」と伝えてあげる。
 ↓
脳としては、「そうなのか。だったら、もっと体(筋肉)の緊張を下げても大丈夫だね。こんな高い緊張は要らないね」と反応するわけです。

これは過緊張タイプの片麻痺の人にとっては特に、大事な情報になります(一般の人にとっても同じく大事ですが)。








片麻痺の人は感覚も麻痺している場合が多く、仰向けでも「広い面積で支えられているという感覚情報が不足しがち(つまり、感じにくい)」です。

つまり、脳としては情報不足で状況が分からず、緊張を下げて良いか判断しづらいまま、とイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。

だから、あなたが相手の体を揺する際に「支持面」を意識し、そこに向けて軽く圧をかけるように操作することで、

「ほら、こんなに広い面で支えられているじゃないですか。だから、こんなに緊張が高くなくていいでしょう?」と伝えてあげるわけです。







ちなみに、相手が腰かけている場合なら、体と接している面は座面(と背もたれ)、足の裏などが該当します。

そういう体を支えている面に向かって軽く圧をかける意識で、相手の体を軽く揺すってあげるのは同じです。

その状態で相手の麻痺側の手指を伸ばしてあげるなら、相手の麻痺側の手(腕も)テーブルなどに載せて、支える面積を増やしてあげればリラックスしやすくなります。

体幹を軽く揺すった後で、麻痺側の手(腕も)テーブル上で同じく軽く揺すってあげれば、手指を伸ばしやすい状態になりますよ。








メルマガでお伝えする「揺すり方」はここまでで良いとは思っているのですが、

もし、片麻痺の過緊張さがすごくて、ここまでの揺すり方ではまだ不十分という場合もあり得ます。

なので、次号では、今回お伝えした方法の延長で、更に精度の高い方法を、念のためにご紹介しておきます。

相手の支持面の中でも「特にこの部位を意識して」軽く圧をかけて揺すると更に効果的、という方法です(方法自体はカンタンです(^^)/)。





_________________
■編集後記
_________________



やはり新型コロナの大きな波が、また来ているようです。

入国緩和、国内の人流の復活(旅行支援でむしろ促進)、冬はもともと感染症が流行りやすい時期、などなど

来るべくして来た大波でしょう。

一般の人々は「またか、気を付けよう」で済むかも知れませんが、医療福祉現場の人々には再び強い負荷が一定期間かかります。







機械でも、負荷がかかり続ければ壊れます。

ましてや人間は生身の生き物ですし、耐久性には個人差もあります

医療福祉現場の人が心身の健康を害したり、現場を去る人が増えたりすることを懸念します。

去る人が増えると、残された人達の負担が増えるため、更に強い負荷がかかる「負のスパイラル」から脱出しづらくなりますからね。







国内では、膨大な税金が軍事費に回されそうです。

防衛ももちろん大事ですが、もう少し医療福祉現場を支えるために、何とか出来ないものなのかと思ってしまいます。

一つの国を一人の人間の体に例えると、防衛は体を動かして行う行為ですが、

医療福祉はその体の健康を維持する(体が動ける状態に保つ)のに必須の要素です。

そもそも、病体では充分にたたかえませんからね。







私が今できることと言えば、

自身の健康を維持することと、

「レナト式リハビリ」のご紹介により、転倒による骨折などを防ぎ

入院予備軍を減らすことかも知れません。












最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172