第172号:レナト式リハビリのフロー76:介助とは5 ~介助のタイミングは、相手の動き出しを待って~

 

 

 

<第172号(2022.8.6)>

 

 

 


 

☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 


発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第172号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー76

  「介助とは5 ~介助のタイミングは、相手の動き出しを待って~」



■編集後記:リハビリは避難の際にも役立ちます。




_______________________

■レナト式リハビリのフロー76

  「介助とは5 ~介助のタイミングは相手の動き出しを待って~」

_______________________



今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「ご家族の介護・介助負担の軽減(=ご本人の身体能力向上→その結果として医療・介護費の軽減)」↓

「あなたは、高齢のご家族をケアする際に、特にどの介助で困っていますか?」↓

「そもそも、介助ってよく分からない(もう少し説明が欲しい)」

https://no-pain-yes-gain.com/free/w212








最近は、上記URLの内容に関連して、「介助とは」というテーマで「そもそも論」をご紹介しています。

介助にせよリハビリにせよ「スキル」に目が行きがちかも知れませんが、その根底に流れる本質的な部分は、「相手本位を形にしているだけ」ということです。

海上に浮かぶ氷山に例えると、水面下の巨大な部分が「相手本位の意識」であり、本質部分です。

そして、それを水面上に反映している部位が「各介助スキル」と捉えると、イメージしやすいでしょうか。

水面下の「どうやれば、相手はラクだろうか(相手のためになるだろうか)」という「相手本位な意識(利他の精神)」を具現化したものが、

水面上の「介助やリハビリの各スキル」に過ぎない、というわけです。








今回もその本質部分に関わる内容の一つで、「介助のタイミング」のお話しです。

例えば、あなたが他者から「歩行介助」をしてもらう側だとします

あなたが歩く際に、あなたの「歩き出しに合わせて」介助者がアシストしてくれれば(力を加えてくれれば)歩きやすいですが、

あなたが「歩き出す前に」介助者があなたに力を加え始めると、どうなるでしょうか?








介助者があなたより前方に位置している場合、あなたは介助者に「引っ張られる」感じになるでしょうし、

介助者があなたの後方に位置している場合は、あなたは介助者に「押される」感じになり得ます。

いずれも、あなたが自身は動く準備が出来ていないのに、介助者から「せっかちな推進力」が加わります。

マズいのは、人間の体は、外から加わった力に無意識に反応するように出来ているため、

「引っ張られる力」には「引っ張られないよう、とどまる反応」が起こりやすいし、

「押される力」には「押される力に負けないよう、踏ん張る反応」が起こりやすいのです。








これは、誰しも経験則で分かるかと思います。

例えば、子供の頃に親などから手を引かれた時に、いったん体が無意識に強く抵抗したことや、

人込みで混雑した状況で誰かから体を押されると、その場に踏みとどまろうと無意識に反応したこと、などです。

しかし、介助は「相手の不足分を補う行為」ですから、移動の介助なのであれば、相手にそういう反応を引き起こさせない方がスムーズですね。







では、どうするのが良いでしょうか。

それは、これまでの「相手本位の意識」を進めて「相手の動き出しに合わせる意識」を持ち、

実際相手が動き出すのを見計らって、介助の力を加えてあげることです。

そうすれば、相手の動きをジャマせず、あなたのサポート(介助)の力を相手の体に効率よく伝えることが出来ます。







「相手の動きに合わせる」というと、「相手が動ける時は分かるけど、動けない(全介助の)時はどうするの? 」となるかも知れませんが、方法はあります。

人体の動きは本来すべて「連動」していますので、例えば仰向けからの「起き上がり動作」であれば、

実際に上体が起き上がる前でも、頭を起こそうと首の前側の筋肉が強く収縮したり、それ以前には「腹筋」が最初に強く収縮したりします。

仮にそれらの筋力が弱くてご本人が頭を浮かす動きを出せなくても、「目線」を起き上がる方へ向けてもらうだけでも「腹筋や首の筋肉の収縮」が出やすくなります。

ご自分の体でカンタンに確かめられるので、ぜひ試してみて下さい(仰向けで、首の前の筋肉や腹筋に手をあてながら、目線を動かしたり、頭を持ち上げようとしてみて下さい)。

これを介助に活かすなら、全介助の相手であっても、あなたが相手に「起き上がる方向を見て、起き上がろうとして下さい」と伝え、

相手が視線を移したり、首の前側の筋肉が収縮したりしたタイミングを見計らって、起き上がりの力をアシストすればいいのです。








ちなみに、「レナト式リハビリ」で「腹筋には必ずアプローチ」するのは、

そのような「動作の起点」として腹筋の仕事が大事だからです↓


【関連動画:体の中心が「自動的に」安定し続ける簡単な方法】

https://www.youtube.com/watch?v=ex6NVk20wCE&list=PL87Hh0oDQOdeDW4HobWyu55viPfhwKc92&index=4








介助者が相手の「動き出し(視線や筋収縮など、動作の起こり」を確かめてからアシストの力を加えると、

相手の体に「(無意識な)抵抗反応」を出させずに、スムーズに効率よく動作のサポートをしやすくなります。

「相手と息を合わせる」という表現も出来そうですが、息を合わせるには「相手の動き出し」のタイミングを見計らう必要があるということです。

余談ですが、逆は良くないことがどんどん起こり得ます。

相手の体が動き出していないのに、介助でガサッと動かそうとすると、相手の体は防御反応で硬くなってしまうだけでなく、相手の体に(介助時の)痛みを引き起こしたりもします。

その結果、相手からの不信感や介助拒否につながったりと、相手の体も心も硬化させてしまいかねません。








次回は、今回のお話の延長で、「相手の動き出し」にタイミングを合わせると

「リハビリ効果も高まる」ことをご紹介する予定です。

水面下にある本質部分=「相手本位(利他)の意識)」から行動すると、

全て効果的に連動し、良いことが沢山ありますよ(^O^)/





_________________
■編集後記
_________________



今年も豪雨で水害が各地に発生しています。

「過去最大級の~」という言葉が毎年のように聞かれることから、

残念ながら、こういう現象が今後は毎年続く前提でいた方が良さそうです。

そうなると、被害を最小限にするためにクローズアップされる要素の一つは、各自の「避難する能力」になります。








事前の諸準備はもちろんですが、「実際に動ける能力(移動能力など)」が大事です。

全介助での車椅子よりは自操の車椅子、車椅子よりは歩行器、歩行器よりは杖、杖よりは杖無しで移動できる方が避難しやすいのは言うまでもありません。

それに、移動能力が不足している分は他者が介助する必要が出てくるため、被害が増す可能性も高まります。

やはり、一人一人の動作能力を普段から高い状態に保てるに越したことはないですね。

「レナト式リハビリ」では、あまり動けない人や動きたがらない人でも、動作能力を向上させやすい方法をご紹介していますよ↓

【出版作品のご紹介】

https://no-pain-yes-gain.com/free/w25






最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172