第150号:レナト式リハビリのフロー54:移動(歩行)介助で困っている2

 

 

 

<第150号(2022.3.5)>

 

 

 


 

☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 


発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第150号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー54

  「移動(歩行)介助で困っている2」



■編集後記:道具には明確な意味や目的があります




_______________________

■レナト式リハビリのフロー54

  「移動(歩行)介助で困っている2」

_______________________



今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「ご家族の介護・介助負担の軽減(=ご本人の身体能力向上→その結果として医療・介護費の軽減)」↓

「あなたは、高齢のご家族をケアする際に、特にどの介助で困っていますか?」↓

「移動(歩行器)介助(で困っている)」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w214










前回から「歩行介助」に入り、今回もその中の要素である「移動補助具」のお話です。

リハビリが進んで体の支えなどがしっかりして来ると、移動補助具の安定性や底面積を減らして行くことにつながります。

実際は、リハビリ専門職は地面に接している両足や杖など全てを囲った面積で安定性を考えるのですが、

よりシンプルなイメージとして「杖などの道具の底面積が減って行くと道具に頼り甲斐がなくなるから、

その分、自分の体で支えられる割合が高くないといけないんだろうな」くらいに捉えてもらった方が分かりやすいかも知れません。








「杖」に関して言うと、4点杖且つ底面の四角の面積が大きいものが最も安定性が高いということになります。

続いて、4点杖且つ底面積が小さいもの→(場合によっては多点杖)→1本杖(T字杖)という順番で底面積が小さくなり、道具としてはより不安定になって行きます。

上記URLの最初の動画内でもお伝えしていますが、より不安定な道具にガッツリ体重をかけて頼るのは、理にかなっていません。

見栄えを気にして1本杖に執着したりすると、危険なのは言うまでもありません(男性に多いです、苦笑)。








転倒の危険だけでなく、血圧などにも影響があり得ます。

「不安定な状態でムリする→力む→循環器に負担がかかる→血圧が上昇する」となりかねませんし、

不適切な道具を選んでムリすると、疲れも早くなるため、歩く距離なども自ら頭打ちな状態にしてしまいます。

しかも、道具を使う腕の筋肉や関連する部位が硬くなったりもするため、良いことがありませんね、、、。








歩行の介助を行う人は、ご本人がツラそうなら(ムリしてそうなら)、道具の変更を提案するのは大事なことです。

もちろん、相手のプライドが高い場合などは容易に受け入れてもらえない可能性はありますが、

例えば、歩行前後の血圧データなどを示しながら「体に負担がかかり過ぎだね」という感じで、あの手この手で相手の意識変容を促すのはアリでしょう。

「ご本人がムリな移動(歩行)をする=その分、介助者の負担が増える」ということでもあるので、お互いに大事なことですね。








次回は、ご本人は「杖をどちらの手で使えばよいか」のお話に進みましょう。

それによって、介助者が立つ位置も変わって来ます。

季節は春になって来たので、安全且つラクに外出できるといいですね。






_________________
■編集後記
_________________


冬季のパラリンピックが始まります。

リハビリ専門職としては、夏季でも冬季でもパラリンピックは興味深い、そして感慨深いものがあります。

もともと冬季は夏季よりも道具を使う競技が多い上に、パラでは更により多くの道具が登場するため、その点でも見どころが多くなります。

「この道具は、何のためにあるんだろう?」「無いと、どうなるんだろう?」などなど、考えるのは(私の場合)楽しいです。







ちょうどメルマガの中で「杖」が登場しているところなので、「反力」のお話を少ししたいと思います。

「反力」は(地面や壁などを)自分が押した力と同じ力で押し返して来る力のことです。

これがない(弱い)と、地面や壁が水や豆腐のような状態になるので、体が入り込んで大変なことになります。

「杖」も地面からの「反力」が得られることで、体の支えの一部として機能します。







そういう意味では、多点杖の一部には根元部分が可動するため、地面からの反力がうまく体に戻って来づらい商品があります。

体は反力を(無意識にでも)計算して動くので、これだと計算が狂ってしまいやすいです(動きに影響が出やすいです)。

別な道具でも似た例はあります。低反発のマットレスなどは、体圧が分散される代わりに、体が反力を得づらいので寝返りなど動作がしづらくなります。

もちろん、道具の選択は目的次第なので、「私は~を優先しているから、これでいいんだ」という場合は、いいのでしょう。







いずれにせよ、それぞれの道具には意味や目的が明確にあります。

スキー競技を観ていて「ストックは本当に必要なの?」と感じるかも知れませんが、

「ストックがないと、どうなるんだろう?」と考えてみると知識や面白さ(?)が増すように、

杖などの移動補助具も、「これが~だと、どうなるんだろう?」と考えると、適切な道具を選びやすくなるかも知れませんね。










最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172