第103号:レナト式リハビリのフロー7:転倒した際にぶつけたのは、手や腕、顔(つまづき)~前編~

 

 

 

<第103号(2021.4.11)>

 

 

 


 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

第97号からは新シリーズ(レナト式リハビリのフローに関するメルマガ)を開始しています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







最近は自分のホームページにて「レナト式リハビリのフロー」を作成中です(URLは、このメルマガの一番下にもあります)。

例えば、高齢者の在宅生活でよくある現象(転倒した、立ち上がりにくくなったなど)からフローで進み、

その考え得る仕組みや、対応するには「レナト式リハビリ」の中でもどの方法を使うか、などをお伝えしようとするものです。

フロー「チャート」というほどのものではないのですが、ご覧になった方が情報を参照しやすくなればと願っています。







このホームページのフローは以前から作りたかったもので、色々と情報を詰め込みたいのですが、

「文章長すぎ・情報量多すぎ」になると、せっかくのフローなのに「流れにくくなりそう」なので(苦笑)、

できるだけシンプルな内容に収めようとしています。

そのかわり、ホームページに載せなかった内容や補足などを、このメルマガでお伝えする形にして行きたいと思っています。










第103号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー7

  「転倒した際にぶつけたのは、手や腕、顔(つまづき)~前編~」



■編集後記:「精神論」ではなく、「仕組み」を理解しましょう





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■レナト式リハビリのフロー7

  「転倒した際にぶつけたのは、手や腕、顔(つまづき)~前編~」


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今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「在宅生活の継続(入院や施設入所をしない生活の継続)」↓

「あなたの高齢のご家族は、最近実際に転倒しましたか? 」↓

「Yes(最近、転倒した←入院はしていない)」↓

「転倒した際に、どこをぶつけましたか?(打撲や擦り傷ができた部位)」↓

「手や腕、顔(つまづき)」となります(該当するURLは以下です)↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w192










もし、立っている状態から「前下方へ」倒れ込む場合、普通はとっさに手や腕を床などに着こうとしますね。

人体は、頭や胴体などの生命維持に不可欠な「中枢部」を優先的に守るように出来ているためと考えられます。

しかし、実際には、高齢者だと何らかの理由で手や腕が出せずに顔をぶつけて顔にアザが出来てしまったりしますし、

手を出せても手首を骨折したりして、「無事」には済まないことがありますね。








いずれにせよ、転倒しないに越したことはないので、前下方へ倒れ込む時の「仕組み」を把握し、予防した方がいいでしょう。

単純に捉えれば、「つまづき」ですし、別な表現なら「浮かせた足の高さが不十分」だから「足が段差や床に引っ掛かる」わけです。

では、「足を充分浮かせるために、何が不足」しているのでしょうか?または、「何がジャマしている」のでしょうか?

これらがお話の「肝」になりますが、両方を一度に書くと分量が多くなるため、今回は「何が不足しているか」に関してお話しします。









不足している主なものは、「お尻の筋力」です。

ざっくり言えば、「片脚立ち」の状態になれないと、反対側の足は浮きません。

そのためには、踏ん張る脚の側において、骨盤を水平に保持できる筋力がないと、

(浮かせたい足の側の)骨盤が重力に負けて下がるため、「物理的に」足は浮きにくくなります。









骨盤を保持する仕事は、骨や筋肉などの「協働作業」ですが、中でもお尻の外側が主役になります。

本当にそうなのか、ご自分で試してみるのは、カンタンです。

手を骨盤の外側にあてながら歩いてみると、「片脚立ち」になる際に、その筋肉が強く収縮するのが感じられるでしょう。

強く収縮して骨盤を保持しようと頑張ってくれているわけです。

その結果、しっかりと体重が片脚に載り、反対側の脚は体重が抜けて軽くなり、足を浮かせられる状態になりますね。

ちなみに、片脚立ちの瞬間に「わざと」その骨盤外側の筋肉の力を抜くと、脚の付け根で「内股」にカクっと曲がってしまいます(浮かしたい足の側の骨盤が下がります)。

試す場合は、どこかにつかまりながら行うなど、安全を確保して行って下さいね。









歩く際や方向転換などの際には「片脚立ち」になる瞬間があり、

ただでさえ重い上半身を、「片側の」お尻の筋肉で支えねばなりません。

高齢者など、お尻まわりの筋肉がやせてフニャフニャになっていると、当然その仕事がしづらく、

「片脚立ちになれない=反対側の足を浮かせられない」ということになります。

その程度が大きければ、そもそも足が浮かないので「最初の1歩が出せない」状態になりますし、

程度が小さめなら、「小刻み歩行」や「すり足」などになり得ます。いずれにせよ、段差や床に足がひっかかり、前下方に転倒しやすいですね。









この「仕組み」で言うと、お尻まわりの筋肉が弱いままだと何度でも「つまづく」ことになりますが、

逆に言えば、お尻まわりの筋肉をつくってあげれば再発を防ぎやすくなります。

ただし、若い人が行うような負荷の大きな「筋トレ」は高齢者には不向きなので、

レナト式リハビリでは、「トントンするだけ」でカンタンにつくる方法もご紹介しています(上記URLのページ内に「関連動画」や「関連書籍」としてご紹介しています)。

片脚で「踏ん張れる根拠」をつくり、「反対側の足を浮かせられる状態」へ導いてあげて下さい。









今回は足を浮かせるために「不足するもの」のお話でしたが、

次号ではそれを「ジャマするもの」のお話へ進んで行きます。

物理的な要因が改善されていないと、「再び」つまづいて転倒する可能性が高いので、

再発防止に向けて余地を埋めて行きましょうね。






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■編集後記
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私自身は、「精神論」は、好きでもキライでもありませんが、

「仕組み」を理解せずに「頑張れ」とだけ伝えるような対応はキライです。







例えば、家庭にいる高齢者が歩こうとしても「最初の1歩が出ない場合」に、

ご家族がイラ立って、「なんで歩けないの!さあ、1歩を出して!」みたいに、

応援なのか、非難なのか分からないような感じで、声を荒げているような場面があります。

その高齢者が「物理的に」1歩が出せない状態ならば、それを改善しない限り、最初の1歩はいつまで経っても出せません。

「頑張る」とか「精神論」でどうこういう次元ではない、ということです。

これでは家族とは言え、二人の関係まで悪くなってしまいかねませんね。







「仕組み」を知れば、「ああ、だからか(1歩が出ないのか)」とか「じゃあ、(お尻の筋肉ができるまで)まだしばらく無理だな」という判断もできますので、

ご家族も必要以上にイラ立ったり、そのせいで動悸などの体調不良になることも防げます。

リハビリ専門職にかかっている場合は、「仕組み」を解説してもらうのも良いですし、

かかっていない場合は、私がご紹介している事例に近いかどうか、確かめてみてもらうといいですよ。

ご家族で「共倒れ」にならないよう、「仕組み」を知って行きましょう。










最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172