第93号:在宅生活の環境整備23:人的環境⑬ ~体が硬くなると、歩行が小刻みになったりします~

 

 

 

<第93号(2021.1.30)>

 

 

 


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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています







最近は、「在宅生活の環境整備」に関する動画をご紹介しています

もともと、超高齢社会で病院のベッド数が不足したり、

高齢者施設は(職員不足で)入所制限がかかったり、と

病院や施設に入れないから「自宅で」「在宅医療を」という人が増える傾向にありました。







仮に施設などに入れるとしても、住み慣れた自宅で何とか生活を続けたい人や、

経済的な問題で(在宅医療の方が費用が抑えられるという理由で)在宅生活の継続を選ぶ人も少なくありません。

ならば、少しでも在宅生活を継続できるよう、留意点や工夫などをご紹介して行きます。

最近は「環境要因の一つである、人的環境(ご本人や周囲のご家族など)」に関する動画をご紹介しています。








第93号は、こちらです↓


■在宅生活の環境整備

  「人的環境13 ~体が硬くなると、歩行が小刻みになったりします~」



■編集後記:夜間だけ歩行器などを使う対応は、アリです



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■在宅生活の環境整備

  「人的環境13 ~体が硬くなると、歩行が小刻みになったりします~」


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「自分自身のこと」は意外に自分で分かっていないように、

「自宅」のことも、意外に分かっていない場合があります。

そのために「転倒で大ケガ→入院→施設入所→自宅へ戻れず」とならないように、

こういうことに留意して下さいね。↓







「【家族もできるリハビリ】歩行:夜間のトイレへの歩行が不安定になる要因」(2分26秒)
https://www.youtube.com/watch?v=CoWwS8diSVA&list=PL87Hh0oDQOdeDW4HobWyu55viPfhwKc92&index=11





動画の中では、

1.「体(筋膜)が硬くなっていると、骨盤の移動(体重移動)をジャマして歩きにくくなる」

2.「夜中だけ小刻みな歩行などになる人は、骨盤の移動をジャマされている可能性がある」

3.「つまづきやすくなるので、普段から体(筋膜)を柔軟に保つ方がいい」

などについてお伝えしています。










前回のメルマガでは少し視点を変えて、「体を支える担当部位がその仕事を充分できない状態だと、

周辺の本来は担当でない者たち(筋肉など)が動員され、酷使されるために体が硬くなりやすい」という話をさせてもらいました。

人間の組織(会社など)でも、担当者が機能しないと周囲のスタッフが疲弊するので、同じですね。

今回からはまた、「硬くなる悪影響」に戻ります。同じ人でも日中と夜間とで異なる例を、今回の動画ではご紹介しています。









誰しも、日中の動きに比べて、夜間にトイレなどに行く際は多少フラつくものですが、

高齢者では、それ以外の要素が動作に反映されている場合があります。

「日中はわりとスタスタ歩けるのに、夜間は脚が出なかったり、小刻みで不安定な歩行になる」というケースなどがそうです。

ここでも、全身を覆う「筋膜」の硬化が悪さをしている可能性があります。









歩く際には片方ずつ脚を前へ移動させねばならず、その際は脚が空中に浮いている必要があります。

空中に浮くためには「体重」が脚から抜けている(反対側の踏ん張る脚の方へ体重が移動している)必要があり、

そのためには「骨盤」が踏ん張る脚の側へ移動せねばなりません。

ところが、全身を覆う「筋膜」が硬くなると、その骨盤の移動をジャマするわけです。










服やズボンでも同じですが、キツキツでゆとりがないものを身に着けていると、動きが制限されます。

全身を覆う「筋膜」が硬くなると、キツキツの全身タイツを着ているようなものなので、骨盤の移動も制限されてしまいます。

骨盤が移動がジャマされ、浮かすべき脚に体重が残っていると「(歩きたいのに)最初の1歩が出ない」状態になりますし、

骨盤の移動できても浅いと(不十分だと)浮かせた脚がすぐ落下するため、「小刻みな歩行」や「すり足」になりやすく、

ちょっとした段差などに「つまづき」やすくなります。









動画の中でも、特に「お尻付近の筋膜」が硬いと骨盤の移動がジャマされる話をしています。

日中と夜間とで、その部位の硬さを触り比ベられれば分かりやすいですが、

気温が低く体が冷えている状態ならば日中でも同じことが起こりやすいので、

その時にほぐしてあげて、小刻みな歩行などがその場で改善されるなら「やっぱり筋膜だったか」と判断できます。









夜間はたたでさえ気温が低下しますし、就寝中は体温も下がります。それに合わせて「筋膜」も縮こまりやすくなるため、

就寝中にトイレに行く高齢者などには、単なるフラつきだけでなく、このような日中と異なる脚の運び方が出やすくなるケースがあります。

ご家族が夜間に起きてマッサージするわけにも行かないでしょうから、普段からできるだけ、体(筋膜)を柔軟な状態に保ってあげて下さい。

「レナト式リハビリ」では、効率よくほぐして行く方法もご紹介していますよ↓

説明ページ→https://no-pain-yes-gain.com/free/w16









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■編集後記
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どうしても日中と夜間の歩き方が、前述のように大きく異なる場合は、

夜間だけ「歩行器」などを使う対応は、アリです。

「日中とは別人」という扱いをしておいた方が無難だと判断したら

「日中とは異なるサポート」の仕方をするのが妥当ですからね。







ご家庭にいる高齢者を意識して見ていれば、1日の中での変化やパターンが分かって来るため、

「こういう状態には、こう対応する」というバリエーションが増え、先手も打てるようになりますが、

そのような変化に関心が乏しいと、「気づいたら転倒していた(大ケガしていた)」ということになりかねません。

関心があるから「なんか変だな」と感じ取りやすくなりますし、専門職などへの相談にもつながります。

(関心が乏しく)放置してしまうのは、環境要因の中でも「人的要因」と言えそうですね。









最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46