第43号:「福祉用具:車イス編」その2

 

 

 

 

<第43号(2020.2.8)>

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






さて、前号からは「福祉用具シリーズ」が始まり、

特に優先すべきものとして「移動」に関する用具を、且つ、症状のより重い方が利用する用具から、ということで、

「車イス」関連のお話に入っています。

本やネットで見つかるような一般的な情報でなく、リハビリ専門職としての経験からのお話にしてあります。





第43号は、こちらです↓


■「福祉用具:車椅子編」

  その2:体の硬さ←軽くゆすってあげましょう!


■編集後記:どの高さから、「俯瞰(ふかん)」しているか



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■体の硬さ←軽くゆすってあげましょう!
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前号では、車イスから「ずり落ちてしまう人」の仕組みと対策に関するお話をしました。

体が硬くなり、体幹を曲げにくくなると、物理的にずり落ちやすくなりますね。

車イスはもともと「移動用」として作られたので、ソファーのように「ずっと座っているもの」ではないのですが、

現状ではそういう使い方になってしまっている場合が多いため、色々と問題が生じますね。







体験的に車イスに一定時間座ってみたことがある方はお分かりかと思いますが、

病気も怪我もしていない一般の方でも、数十分座っていると、だんだんしんどくなってきます。

車イスという用具自体が、くつろいで座るためのものではないからですね。

しかし、色んな事情で長時間座る(座らされる)人が多いため、

少しでもラクに座ってもらうために、今回は以下の動画をご紹介します↓






「【家族もできるリハビリ】体の硬さ←軽くゆすってあげましょう!」(2分31秒)

https://www.youtube.com/watch?v=N3oy_n60b3E&list=PL87Hh0oDQOdeoeOvexjky3MmT_eAW8-kn&index=1






動画の中では、

1.「筋膜が硬くなると、体が硬くなる」

2.「気温の低下などで、筋膜は硬くなる」

3.「体の緊張を低下させる刺激を入れると、体がゆるみやすい」

4.「軽い『振動刺激』はカンタン」

などについてお伝えしています。






もちろん、「振動刺激」が禁忌な方には不向きな方法ですが、

一般的には、軽い適度な振動刺激は、人間の緊張を下げ、筋膜も緩まることで、体の柔軟性が回復しやすいです。

動画の中でご紹介している「バスに乗り込んで、しばらく揺られたら、緊張が下がって眠くなる」ようなことは、

多くの方が経験されている通りです。






硬くなっている人に対して、全身にストレッチをしてあげる時間や労力はとても大変なので、

より簡便に緩めてあげられる方法は重宝しますね。

相手に施す前に、ご自分が誰かにゆすってもらい、心地よく緩む「程度」を確かめておくといいですよ。






もちろん、軽い振動刺激だけで全て解決するわけではないので、

出版作品「家族もできるリハビリ・シリーズ」の4作目でご紹介する方法なども、

よかったら、ご参照下さい↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w16







余談ですが、「ストレッチ」してあげようと頑張ると、

「逆効果」になる場合がよくありますので、

それに関連する動画もご紹介しておきます↓





「【よくある逆効果や誤解】ストレッチ:伸ばしたいのに、縮こまらせてしまう場合」(3分27秒)

https://www.youtube.com/watch?v=HlZ9kOfQLM8&list=PL87Hh0oDQOdcb7NKP-9oTXixJZFUIovp3&index=1






筋膜は全身を覆う「全身タイツ」のようなものなので、

四肢を動かしてストレッチしようとすると、その「付け根付近」への負担が多くなります。

筋膜・筋肉は無理に引っ張られると、断裂を恐れて防御的に縮こまろうとするため、

よかれと思って行うストレッチが「逆効果」になることがあるので、注意が必要ですね。






話を「車イス」に戻します。

どうしても車イスに座っている時間が長くならざるを得ないのであれば、

それを逆手にとって、「座っているだけで、リハビリの効果がある」ようにできれば、

まだ、その時間を有意義に使えます。

次回は、そのような動画をご紹介する予定です。






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■編集後記
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高い所から見下ろすことを「俯瞰(ふかん)」と言いますね。

例えば、山に登って、下に広がる景色を見る際、

同じ街並みを見るにしても、

山のどの高さから見るかによって、当然、景色が違って見えます、違うものが見えて来ますね。






これは山に限らず、どんな分野でも同じです。

例えば、スポーツ分野においても、

新人とベテランとでは、同じ競技でも「見えているもの」が異なりますし、

それゆえに、アプローチが異なってきます。






体を緩めることに関しても同じことが言えます。

私も理学療法士として新人の頃は、

相手の方の腕や脚をとって、ストレッチをしていましたが、

経験を積むにつれて、異なるものが見えてきたため、

現在では、腕や脚の「付け根付近に(局所的に)ストレスがかかるストレッチ」は、まずやりません。






施される側・施す側、どちらにとっても負担が少なく、

それでいて効果が出やすい「理にかなった方法」を探求してきたので、

リハビリ専門職でない方にも利用してもらえるような形にして、ご紹介しています。

「最少努力で最大効果」を狙わないと、超高齢社会に対応しづらいですもんね。












最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46