第42号:「福祉用具:車イス編」その1

 

 

 

 

<第42号(2020.2.2)>

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






さて、前号で「片麻痺シリーズ」は一応終わり、

今回からは「福祉用具シリーズ」が始まります。

このジャンルもYouTube動画の視聴回数が多いので、ニーズが高いと判断しています。

実際、福祉用具の選定や使い方などに困っている利用者さんやご家族は少なくないですもんね。





第42号は、こちらです↓


■「福祉用具:車イス編」

  その1:ずり落ちは、体が曲がらないため


■編集後記:「逆に考えて」ダメージがあるなら「福祉用具」を使います



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■ずり落ちは、体が曲がらないため
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福祉用具と言っても、色々ありますが、このシリーズでは、車イス・歩行器・杖など、「移動」に関するものを取り上げます。

それらの中でも種類があり、利用者さんの身体能力や用途によって使い分けがなされますね。

インターネットなどですぐに見つかる一般的な情報は、このメルマガに含めるつもりはありません(字数が増えてしまうため)。

あくまで、リハビリ専門職として臨床で多くの方に対応してきた実際の経験からの情報を、お伝えする予定です。







さて、順番としては「車イス」から始めます。介護度が高い(介助量が多い)方が使うものですね。

私の出版作品「家族もできるリハビリシリーズ」の正式名称は、

「家族もできる、あまり動けない人へのリハビリ(https://no-pain-yes-gain.com/free/w1」となっていることでもお分かりのように、

私はもともと、症状が重い、介護・介助量が多い方を主に想定しています。






それによるご本人の苦しみや、ご家族の負担が大変なので、それらを軽減したいからです(もちろん、重度でない方も対象です)。

よって、この福祉用具シリーズのメルマガも、移動で車イスを使わざるを得ない身体レベルの方のお話から始めます↓






「【車イス】ずり落ちは、体が曲がらないため」(1分40秒)
https://www.youtube.com/watch?v=xIJ798kIbhA&list=PL87Hh0oDQOdeDg9_IQdK0yZ6GLeTNxHwT&index=1






動画の中では、

1.「車椅子の座面から前方への、ずり落ち・滑り落ちは危険」

2.「滑り止めマットなどは床ずれができやすいので、できれば使わないに越したことない」

3.「板を立てかけたように、体とイス背面との間に隙間ができやすい」

4.「硬く伸びにくくなった筋膜をほぐさないと、隙間が埋まらず、ずり落ちやすい」

などについてお伝えしています。






「車イスあるある」というよりは、普通のイスでも同じ原理で起こりえる、よく見かける状態です。

胴体が曲がってこそ、イスに深く腰かけて安定できるのですが、

胴体が硬く「1枚の板」のようになると、まさに壁に板を立てかけただけのような状態になり、

物理的に前方へズレやすく、座面からずり落ちやすくなるわけです

床に落下すると骨折したりするため、防がないといけないですね。






「じゃあ、車イスの座面に滑り止めマットをひけばいいのでは?」となりやすいですが、

これでは「床ずれ(褥瘡)」ができやすくなりますし、

「隙間にクッションを挟めばいいのでは?」と隙間を物で埋めても

前方へズレる力の制御にはなりませんね。そもそも、ご本人はつらい姿勢のままです。

リクライニング機能があればまだしもなのですが、つらい姿勢のままデイサービスなどで何時間も座らされている方は少なくありません。






ちなみに、体が板状になりやすくなる仕組みに関する別動画もありますので、参考までにどうぞ↓

「起き上がり:背面が硬いと、イスからの『ずり落ち』や『誤嚥』にもつながります」(2分32秒)
https://www.youtube.com/watch?v=2TU1DQW00oc&list=PL87Hh0oDQOdeDW4HobWyu55viPfhwKc92&index=9






要介護度が高い方(ベッド上で不動な時間を過ごす割合が高い方)は、

全身的に筋膜が硬く伸びにくくなるため、背面も当然伸びにくくなります。

それはまるで「まったく伸びない服を着ているのと同じ」なので、

胴体を曲げようとしても背面の伸びなさがジャマして、体が板状になってしまいます。

このまま車イスなどにかけてもらっても、「板を立てかけた状態」になってしまうわけですね。






では、どうすれば硬さを軽減して胴体を曲げ、深く腰かけてもらえるようになるか、という例を

次号でご紹介する予定です。

「ゆするだけ」のようなカンタンな方法もありますし、

いわゆる「ストレッチ」をやろうとすると危険な場合があることなども、

この「(車)イスからのずり落ち」に絡めてお伝えした方が良いと考えています。






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■編集後記
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何事も「逆に考えてみる」と、その「意義が浮き彫りになる」ものですね。

「福祉用具」で言えば、「逆に考えて」その用具を「使わないとどうなるのか」。

「使わないと、こういう不便がある」というダメージが大きいほど、使う意義が大きいわけです。

ご本人に関してだけでなく、介護・介助する方にとってのダメージも同じです。





もちろん、リハビリで身体能力が高まれば、不要になる可能性があるので、

「それまでは使う」とか、「転ばぬ先の杖」のように予防的に使う場合もあります。

いずれも、「使わなければ、こう大変。だから使う」というのが、福祉用具です。

「移動」に関する用具は、それを使わないと移動できず、ご本人や介護・介助者の「生活の質」が低下するから使うわけですね。

であれば、より安全にラクに使える方法や工夫などが欲しいので、ご紹介して行く予定です。





全く話が変わりますが、

今回メインでご紹介した動画は、比較的初期に作成したものなので、動画の時間が短いですね。

当時は「視聴者の方に飽きられない時間内に収めよう」という意識が強かったからです(苦笑)。

その後、再生回数が増えて来たので(ご視聴下さる方が増えたので)、

最近は安心して?、作る動画の時間がやや長めになって来てます(笑)。









最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46