第40号:「家族もできる、片麻痺へのリハビリ」その21

 

 

 

 

<第40号(2020.1.19)>

 

 

 







☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 

こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






第40号は、こちらです↓


■「家族もできる、片麻痺のリハビリ」

  その21:腹筋の締りを介助でキープして、両脚の筋肉を連動させ



■編集後記:私は「1回の介助もムダにしたくない」と考える方で

 





_______________________

■腹筋の締りを介助でキープして、両脚の筋肉を連動させる
_______________________


さて、

このメルマガの第20号からは、脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の後遺症である「片麻痺」へのリハビリに関するシリーズが始まっています。

最近のメルマガでは、相手の方の体の支え(特に体幹)ができて、

「(相手の)頭の位置が高くなると、立ち上がり動作もラクになる(介助量も減る)」というお話をお伝えしました。

レナト式リハビリでは、カンタンな方法で体幹の支えがつくれますから、介助量は減って行きます。






では、「その支えができるまでの期間は、どうすればいいのか」というお話を、前号に続き今回もさせて頂きます。

前回は相手の「肩甲骨を操作」することで、背骨を起こし、頭を高くする方法をお伝えしました。

今回はその続きで、頭を高くした上で、体の中心であるお腹(腹筋)の収縮を促す方法です。

これも、動作の介助をしながら、リハビリ(治療)の要素を入れたものです↓






「腹筋の締りを介助でキープして、両脚の筋肉を連動させる」(4分18秒)
https://www.youtube.com/watch?v=tYlI3N7syvM&list=PL87Hh0oDQOdcvOYWW0DkyEWhprXi-jWff&index=6






動画の中では、

1.「体の中心(お腹)がグラグラして不安定だと、動作も介助もしにくい」

2.「本来の立ち上がり動作は、腹筋が締まることで、下肢の筋肉も『連動して』仕事ができる」

3.「相手の肩甲骨を操作しながら、不足する腹筋の締まりもアシストする」

4.「介助が都度リハビリになっているので、動作能力の改善へ最短ルートで行ける」

などについてお伝えしています。







分かりやすい例として「立ち上がり動作」で、今回もご紹介しています。

本来の立ち上がり動作を行う際の「体の動き」をざっくり言うと、以下のようになります。






上半身は一塊でぐらつかず、股関節を回転軸として、上半身が前下方へ落下(おじぎ)して来ます。

→上半身が落下する力(自重、重力)を利用して、お尻は「自動的に浮き」ますし、

→上半身がおじぎするにつれ、腹筋の収縮が促され(腹圧が高まり)、

→腹筋の収縮から太腿前面などの筋群の緊張も「連動して」高まり

→おじぎの直後に「立ち上がるための準備」が下肢の方でもなされる仕組みです。






それぞれの段階が、次の段階の準備になるよう「連動」しますし、

上半身の重さ(重力)を利用するため、ムダに筋力を使ってエネルギーをロスしない、

「理にかなった仕組み」になっています。

だからこそ、何十kgもある体を、一日に何回も持ち上げて、立ち上がれるわけです。

しかし、「動作の起点」が上半身の重さを利用することなので、

頭の位置が高くないと自重を利用しにくく、動作の出発の時点から力が不足することになりますね。






高齢者など、体幹の支えが弱く「頭が低い位置にある方」は、

物理的に立ち上がり動作がしにくい(重力も運動連鎖も利用しにくい)状態にあるため、

立ち上がり動作能力が低くなるのは、こういう仕組みで、当たり前なわけです。

決して、精神論ではありません。






であれば、本来の効率的な仕組みを取り戻すべくリハビリをすればいいですし、

その要素を普段の「介助の中に」入れてしまえば、

毎回介助をする度に、リハビリの効果が積み重なっていくので、

効率よく動作能力の改善(回復)へ向かって行けます(介助量が減ります)。

しかも、方法は、レナト式なので、やはりカンタンです。







「理にかなっていれば、力はいらない」。

日本人なら、武道などを通して、ピンとくる人も多いでしょう。

無理があるから、余分な力を加えなければいけなくなり、

自分も相手も大変になります。

レナト式リハビリでは、「最少努力で最大効果」を

カンタンな方法で行っていきますよ。







動作改善の「2本柱」は、

1)動作に不足するものは、足す

2)動作をジャマするものは、取り除く

これだけです。






ここまでは、主に1(不足するもの=体の支えなど)に関してお伝えしてきたので、

次号からは2の話へ進んで行く予定です。

片麻痺では、筋肉の異常緊張などにより、2の「ジャマする要素」が強いですから、

これも一緒にやって行きましょうね。






_________________
■編集後記
_________________


介護の中で、介助は1日に何回もやりますね。

その1回1回に「リハビリの要素」をカンタンに含められるなら、

それに越したことはありません。





もともと、「介助の落とし穴」として注意が必要なのは、

相手の動作能力(残存能力)を無視して介助者が全部助けてしまうと、

相手のまだ使える能力まで退化させてしまうし、介助量も増えてしまうことです。

結局は介助者の負担を、自ら増やすことになりかねませんね。





社会の労働力不足のために、高齢者施設でも「スタッフ不足による入所制限」を行うところが出て来ています。

ベッドが空いているのに入れない→在宅で介護せざるを得ない、というケースが今後も増えて行きそうですね。





介護は「長距離走」のようなペースで無理なく対応する方がいいでしょうし、

その間、カンタンな方法でリハビリの要素を入れ続けられれば、

「施設にも入れないが、自宅ではニッチモサッチモいかない」、という困難な状況を

回避できる可能性を高められそうですね。






介護は「(相手の)動作能力の不足を助ける」ことが多いわけですから、

動作能力を高めることができれば、お互いに助かることが自動的に増えますよ。







最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46