第35号:「家族もできる、片麻痺へのリハビリ」その16

 

 

 

 

<第35号(2019.12.15)>

 

 

 





☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 

こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。







さて、第35号は、こちらです↓


■「家族もできる、片麻痺のリハビリ」

  その16:体の中心が「自動的に」安定し続ける簡単な方法



■編集後記:ようやく「体幹」や「腹筋」の話に


_______________________

■体の中心が「自動的に」安定し続ける簡単な方法
_______________________


さて、

このメルマガの第20号からは、脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の後遺症である「片麻痺」へのリハビリに関するシリーズが始まっています。

前号では「量(歩行距離や速度など)」ばかりを求め、「質(体の支えの出来具合など)」を無視すると、

段取りがメチャメチャになり全てダメになってしまうので要注意です、というところまでお伝えしました。






今回は、その「質」を高めるために最も基礎となる「体の中心=お腹・腹筋を安定させる」お話です。

本来は、最初にお伝えしたい内容でしたが、「質」を高めれば「量」がついてくる話をした後に登場させた方が

「体の中心を安定させる意義」が浮き彫りになって良いと判断したので、このタイミングになりました↓






「体の中心が『自動的に』安定し続ける簡単な方法」(1分47秒
https://www.youtube.com/watch?v=ex6NVk20wCE&list=PL87Hh0oDQOdeDW4HobWyu55viPfhwKc92&index=4






動画の中では、

1.「お腹の力を抜くと姿勢保持も動作も全て不安定になる=姿勢保持や動作の安定化には腹筋の締りが必要」

2.「腹筋が締まるには腹圧が高まる必要があり、コルセットの代わりを骨盤が行っている」

3.「いわゆる腹筋トレーニングは運動負荷が大きく、高齢者などには不向き。低負荷・カンタンで継続できないと効果が出にくい」

などについてお伝えしています。





最近では、スポーツ分野でも「体幹(胴体部分)」を強化する重要性が説かれたり、

ヨガ系のものでも「コア」にアプローチするものが注目されたりと

以前に比べれば「体の幹の部分」を強くして、姿勢保持や動作能力を向上させる意識が強まっています。

人体が「木」だとすれば、「枝葉」より「幹」を強くした方が安定しそうなのは、イメージしやすいですもんね。





若い人なら、体幹トレーニングとして強い負荷にも耐えられるでしょうが、高齢者や病気で療養している方には不向きです。

でも、体幹の安定が乏しいと、姿勢不良やそこ来る痛み、動作不安定による転倒(大ケガ)などにつながるため、困ります。

低負荷・短時間・カンタンに体幹を安定させて行くには、その仕組みを知って、要領よくアプローチする必要があり、

レナト式リハビリでは、ざっくり言うと、「腹筋が締まらざるを得ないように追い込む」作業をします。





世の中には腰に巻く「コルセット」というものがありますが、あれは決して胴体を固定するものではありません。

固定するなら、骨折後のギプスのようにガチガチに固めないといけませんからね。

コルセットは、それを巻いて外から圧力をかけ、腹部の圧力(腹圧)を高めることで、背骨がグラつかないようにして、

痛みを軽減したり、姿勢保持や動作をしやすくする道具です。





ただ、人体にも生まれつきその機能は備わっていて、主なものは「骨盤の締り」です。

骨盤は締まったり緩んだりすることで、ベルトが締まったり緩んだりするように、

お腹を締め付けたり、緩めたりしています。先程の「腹圧」をコントロールしているわけですね。

この「腹圧」が高くないと「腹筋」は締まりにくいのです。

腹圧が下がっているのに(お腹の力が抜けているのに)、腹筋だけ締める(締まる)というのは、人体の構造上、理にかなっていません。





では、「骨盤」を締めるために、治療者や介助者は骨盤を把持して「えいやっ」と力を加えればいいかと言うと、

それでは大きなパワーが必要ですし、これも理にかなっていません

骨盤は太腿の骨(大腿骨)と連結があり、「股関節」を成しているので、これを利用します。

太腿の骨の長い柄を利用して、膝に近い付近から力を骨盤方向に伝えてあげれば(「運動連鎖」を利用すれば)、

少ない力で骨盤を閉めることができ、腹圧が高まり、「連動して」腹筋が締まりやすくなります。





その際に、腹筋が締まりにくい姿勢を取らないなどの注意点はありますが、

治療者・介助者がとても少ない力で、相手の腹筋を締める(締まらざるを得ない状態に追い込む)ことができます。

その場で腹筋を収縮させられるので、一時的にも体幹が安定化に向かいますし、

1日10秒だけ、1週間程度続けるだけでも、腹筋が「自動的に」締まるようになって来ます(定着化します。期間に個人差はありますが)。





体の中心である「お腹」が安定すれば、姿勢保持や動作を行う際の「力の拠り所」として機能するので、

例えば、起き上がり動作なら、お腹が踏ん張ることで、重い上半身を空中に起こすことにもつながります。

レナト式リハビリは、相手が寝た姿勢のままでも行えるようにしていますので、

これまで「寝たきり」や「ベッドから離れたがらない」方に対しても行えますよ。





他者に対して施すには、自分で「効果」を体験している方がやりやすいでしょうから、

次号では、自分自身に対して行える方法の動画をご紹介する予定です。





「理にかなっていれば、力は要りません」。

日本の武術などとも、本質的に同じなのでしょうね。





_________________
■編集後記
_________________


やっと、「体幹」や「お腹」の話を始める時期に来れました。





シリーズものの映画や漫画などでもそうですが、

ストーリーを本当に時系列に、順番通りにリリースしたいのはやまやまなのに、

最初の方が比較的つまらない内容だと、

その後に続く「本題」や「より重要なストーリー」まで観てもらえなかったり、

続編の作成や漫画の連載自体が打ち切られてしまう危険性があるので、

最初の方は、ある程度キャッチーな(魅力的な)内容を出す必要性がありますもんね。





「体幹」や「腹筋」は、姿勢保持や動作の、いわゆる「基礎」になる部分なので、

地味と言えば地味ですし(笑)、

今すでに動作に困っている方や、介護・介助が大変なご家族からすれば、

「すぐに良くなる方法を知りたい」というのが、実際のところでしょうから、

最初に出したい気持ちをメルマガでは抑えていました(出版作品では最初に出しましたが)。





でも、長期間の忍耐を要するスポーツや学問の「基礎訓練」と異なり、

レナト式リハビリの「体幹づくり」には、時間も労力も驚くほど要しません。

人体の構造を利用して、シンプルな方法で「基礎」を作ります。

しかも「再現性が高い方法」なので、入院などでまた低下してしまっても、基本的にはその度に「つくり直し」ができます。





「急がば回れ」の大事さを、前号でもお伝えしましたが、

「待ったなし」の状況に置かれているご本人やご家族に、「回れ」の部分はつらいものです。

「回れ」の部分をできるだけ、少なく・短くできるに越したことはありませんもんね。

レナト式リハビリでは、そういうニーズにお応えする方法をご紹介しています。








最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46