第33号:「家族もできる、片麻痺へのリハビリ」その14

 

 

 

 

<第33号(2019.12.2)>

 

 

 





☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 

こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。

※土日に用事があり、月曜の発行になりました(すみません)。







さて、第33号は、こちらです↓


■「家族もできる、片麻痺のリハビリ」

  その14:片麻痺:片麻痺:ゆがんだまま運動させると、逆効果に



■編集後記:寒くなってくると、「痛み」が出る方へ


_______________________

■片麻痺:ゆがんだまま運動させると、逆効果に
_______________________


さて、

このメルマガの第20号からは、脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の後遺症である「片麻痺」へのリハビリに関するシリーズが始まっています。




第22号からは、「どの筋肉を優先的につくるのか」というお話を進めていて、

「お尻まわりの筋肉からつくる」という理由や動画のご紹介が始まりました。

(厳密には、身体の中心である『腹筋の締り』から整えるのですが、説明の都合上、『お尻まわりから』としています)

これは片麻痺に限らず、人間の体に共通して優先的につくる必要がある部位ですので、先にお伝えしてきました。





第27号からは、実際に「麻痺」という言葉が登場する動画も織り交ぜ始め、

その流れで、第28号からは「麻痺がある筋肉を強くする」という話に入り、

前回は姿勢を左右均等に近づけてあげると、リラックスした状態になれて、

「感覚情報」が体に入りやすくなるため、筋緊張が更に適正化される「好循環」になる、

という話をさせてもらいました。





今回も前号に続いて、そういう筋緊張の適正化を妨げる(悪化させる)ことを

周囲の人がやってしまう一例です。

非常によく見かけるケースとして、今回は「歩かせること」などをお伝えします↓





「片麻痺:ゆがんだまま運動させると、逆効果に」(4分22秒)
https://www.youtube.com/watch?v=3HGdEd4dybQ&list=PL87Hh0oDQOdclnaYJOjpn-gSEZiZqfh5P&index=3





動画の中では、

1.「周囲のご家族が、片麻痺のご本人に運動を強いることがあるが、『恐怖心』から来ていることが多い」

2.「要介護度が上がると困るご家族は、不安により、ご本人に無理な運動をさせてしまい、『逆効果』になることがある」

3.「麻痺のせいで異常な筋緊張になり、体がゆがんでいるので、そのまま運動させると『悪化』や『悪循環』に導いてしまう」

などについてお伝えしています。






「歩けなくなると困る」というのは、片麻痺のご本人だけでなく、ご家族が強く感じている場合があります。

介護が大変になると、心身の負担だけでなく、費用の負担も大きくなるので、心配になるのは当然ですね。

ただ、その心配や恐怖心に負けてしまって、「先を急ぎ過ぎる」「治療や改善の段取りを無視する」行為に至るケースが少なくありません。

歩行能力に関して言うと、「どんどん歩かせて、歩けるように」という思考にとらわれてしまいます。






過緊張タイプの片麻痺は体がゆがみやすいため、これまでご紹介したリハビリでも左右を均等化したり、

それにより骨で支えられる割合を増やして、その分筋肉をリラックスさせたり、

感覚情報が入りやすくなることで、余計な筋緊張の高まりを抑えて

環境とご本人が仲良くできる本来の状態に近づけてきたのですが、

恐怖心が先に立つご家族が、それらの段取りを無視して、「とにかく歩かせてしまう」と

そのプロセスが、めちゃくちゃになってしまいます。






これでは、リハビリがせっかく順を追って、最短で動作能力が高まる手順で進めているのに、

それに逆行することが行われて、リハビリの進行を著しく妨げてしまいます。

治療は論理的に進めるものですから、そのように説明もするのですが、

恐怖心で蓋をされているのか、その説明もご家族の中に「入って行かない」ことがあります。






訪問リハビリの際に、「リハビリの時以外、まだ歩く訓練はしないで下さい。逆効果になります」と伝えて帰っても、

次回訪問した際には、「昨日は何メートル歩かせたの。歩けなくなると困るからね」と

悪気もなさそうに、ご家族が話されることがあります。

そして、ご本人の体を確認すると、筋緊張の異常が悪化し(ゆがみが強まり)、

ギクシャクした動きが強まり、転倒の可能性が高まった状態に、案の定なっています。






このように「理性」より「感情」が先行してしまう方の場合、

不安や恐怖から「適切なタイミングなどを待てない」ことにつながりやすくなります。

世の中で起こる事故やトラブルも、「待てない」ことから起こるものが多いですもんね。

「急がば回れ」を実践するには、「(理性で)感情をコントロールする能力」が必要になりますが、

その欠如のために治療(リハビリ)が進みにくくなるのは、悲しいケースです。





勉強でもスポーツでも仕事でも、論理を無視した「カオス(混沌)」な状態で、

感情のままに動いても、うまく行きませんね。リハビリもしかりです。

これは大事なことなので、次号でも、今回の内容を更に少し掘り下げた内容の動画をご紹介する予定です。




_________________
■編集後記
_________________

だいぶ寒くなってきました。

生き物の体は冷やされると困ることが多いので、とにかく熱を逃がしたくありません。

そうなると、体は無意識にでも縮こまって放熱を防ごうとします。

全身を覆う「筋膜」も縮こまりやすくなりますが、これは「痛み」につながるため、対応が必要になります。





私はYouTube動画の中で「痛み」に関するものを多く出しており、

以前のメルマガでもそれについて補足するシリーズもお送りしましたが、

この「気温が低下する時期」は特に、「筋膜が縮こまることで発生する痛み」が起きやすい季節です。

痛みでお困りな方、病院等では治らなかった方は、下記のバックナンバーのURLから、

「痛み」に関するメルマガや動画を、よかったらご覧下さい。






最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46