第28号:「家族もできる、片麻痺へのリハビリ」その9

 

 

 

 

<第28号(2019.10.26)>

 

 

 





☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 

こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。








さて、第28号は、こちらです↓


■「家族もできる、片麻痺のリハビリ」

  その9:筋トレ:高齢者や片麻痺の方向け



■編集後記:「悪循環」は、いずれ特集する予定です

_______________________

■筋トレ:高齢者や片麻痺の方向け
_______________________


さて、

このメルマガの第20号からは、脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の後遺症である「片麻痺」へのリハビリに関するシリーズが始まっています。




第22号からは、「どの筋肉を優先的につくるのか」というお話を進めていて、

「お尻まわりの筋肉からつくる」という理由や動画のご紹介が始まりました。

(厳密には、身体の中心である『腹筋の締り』から整えるのですが、説明の都合上、『お尻まわりから』としています)

これは片麻痺に限らず、人間の体に共通して優先的につくる必要がある部位ですので、先にお伝えしてきました。





前号からは、実際に「麻痺」という言葉が登場する動画も織り交ぜ始め、

その流れで、「では、麻痺がある筋肉をどう強くすればいいのか」という話に入ります。

では、7つ目の動画をご紹介します↓






「筋トレ:高齢者や片麻痺の方向け」(2分28秒)
https://www.youtube.com/watch?v=xxYTVsBDIM0&list=PL87Hh0oDQOddlrUTKub3gp7hUxgsd26uT&index=1





動画の中では、

1.「強い負荷をかけなくても、ドアをノックするようにトントンすれば、筋肉がつく」

2.「運動をしたがらない高齢者だけでなく、片麻痺の人にも使える(完全な弛緩麻痺を除く)」

3.「施される人も施す人も負担が少ないため現実的で、継続しやすい」

などについてお伝えしています。






まず、「筋トレ」という言葉を使うと、一般的には負荷をかけたトレーニングのイメージがあるので、

筋力向上の方法をお伝えすることに違いはないのですが、

正直あまり「筋トレ」という言葉を使いたくないです。







考え方としては、「筋力=発揮できるパワー」であり、

そのためには、筋肉が痩せてフニャフニャだと当然パワーが発揮できません。

筋肉の「ボリューム」と「弾力感」を取り戻す(増やす)ことで、

結果的に「発揮できるパワー=筋力」を向上させます。







筋肉の元々の性質として、「緊張が高まった状態にトントンされると、ボリュームや弾力感が増す」

というものがあります。強い負荷は不要で、ドアをノックするような要領です。

麻痺があっても可能である理由は、麻痺は脳から筋肉に至る「神経伝達路」のどこかにトラブルがある状態なので、

筋肉自体には問題がない場合が多く、筋肉の性質は生きている(活用できる)状態にあるからです。







麻痺が起こっている筋肉を自分の意思で動かして行う筋トレが無理でも、

この「トントンしてもらうだけ」の方法なら筋肉がラクにつくれます。

麻痺がなくても、動きたがらない在宅高齢者の筋肉をつけるにも効果を発揮します。







負荷や回数にこだわった「いわゆる筋トレ」は比較的若い人には施しやすいのですが、

片麻痺の人や動きたがらない高齢者には「絵にかいた餅」になってしまう場合が多いですね。

筋肉が痩せることで起こる様々な「悪循環」を防ぎ、

できるだけ本来の「好循環」な状態に戻してあげましょうね。






体がゆがむと「悪循環」にハマりやすい話は前号でもご紹介しました。

腰かけた姿勢の場合、「土台」部分である骨盤を左右水平に戻すには、

左右のお尻の筋肉のボリュームや弾力感を均等まで戻してあげれば実現しますが、

それでも、骨盤より上の上半身が横に傾いている人の場合は、どこの筋肉をつくってあげればいいでしょうか?

次回の動画では、「土台」の次に「柱」を簡単につくる動画をご紹介する予定です。




_________________
■編集後記
_________________

身体的な何かのトラブルから抜けられていない時は、

多少なりとも「悪循環」にハマっている可能性が高いです。

そうでなければ、自力でその状態から脱出できているはずですからね。





リハビリの専門職の大事な仕事の一つは、その「悪循環」の図式を明確にし、

「こうすれば好循環に戻せますよ」という道筋を示して、実践できること、と考えます。

その図式を示せないまま、曖昧なまま、「リハビリのような何か別なもの」を

施してしまっている治療家が、臨床には実際に少なくないことが残念です。





「悪循環」から自力では抜けられないから治療家を頼っているのに

治療家から更に「悪循環の深み」へ導かれてしまう人や、そのご家族が気の毒で仕方ありません。

今回の片麻痺シリーズの中でも、ある程度の情報を出した後に「まとめ」的に、

よくある「悪循環」の図式を特集できれば、と思っています。





最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46