第20号:「家族もできる、片麻痺へのリハビリ」その1:今日は導入(イントロ)です

 

 

 

 

<第20号(2019.8.31)>

 

 

 


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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。
理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。








さて、第20号は、こちらです↓


■「家族もできる、片麻痺のリハビリ」

  その1:今日は導入(イントロ)です。


■編集後記:今回から「片麻痺」シリーズに入りました

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■片麻痺:今日は導入(イントロ)です。
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さて、

前号で「痛み」シリーズに関しては、一応(ひとまず?)終了とさせて頂きました。

今回からは、脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の後遺症である「片麻痺」へのリハビリに関するシリーズを始めます。





私の動画に関してYouTubeで視聴回数を確かめると、「痛み」関連の次に多いのが、「片麻痺」関連です。

ニーズが高いということは、困っている方も多いということでしょうね。





これまで「片麻痺」と全く関わりがなかった人が発症して入院・退院した際に、

麻痺の程度によっては、発症前とかなり異なる印象をご家族も受けるかと想像します。

正直言って「ショック」でしょうし、どうして良いか「途方に暮れる」方も少なくないでしょう。

退院後もリハビリをしっかり受けたくても、医療保険・介護保険の制度内では、ある程度までになってしまいます。





「骨折して入院したけど、骨が引っ付いたから退院した(ほぼ元通りになった)」というのと異なり、

片麻痺の病態は複雑なので、ご家族としても「どう捉えて行けばいいのか」というのも困るでしょう。





これはせっかくメルマガですし、発行してお伝えして行く順番に捉えて行ってもらうと、

片麻痺の方へのリハビリに関して、家族ができ得る「余地」が分かりやすくなるように、してみたいと思っています。

(※ちなみに、完全弛緩型の片麻痺は対象にしていませんので、ご注意下さい。)







今回はシリーズの初回なので、導入(イントロダクション)的な内容をお伝えします。

まず、ざっくりと、大項目を列挙し、ご家族がやれ得るものか、〇・△・×で表記します(あくまで、私の見解ですが)。



1.現在(退院して来た状態など)、すでに不足している能力を足すリハビリ:△

2.手を入れていないと、今後低下する部分へのリハビリ:△

3.麻痺側の手足などへの(麻痺自体の改善を目指した専門的な)リハビリ:×

4.家族が「よかれと思って」本人の状態を悪化させるのを控えること:〇





それぞれに関して、ざっくり補足しますと、


1.は、筋力不足などです。

2.は、例えば、活動量が乏しいと、体(筋膜や筋肉)が硬くなってしまい、その結果、動作能力などが低下します。

3.は、麻痺自体の改善です(神経系)。

4.は、例えば、「ただ歩かせる」、「歩く距離ばかり追求させる

  →その結果、ご本人の体の「ゆがみ」などが悪化し、「逆効果」になる。






上記「4」は実は、かなり大事です。

と言いますのは、例えば、

ご本人が歩けなくなると、介護するご家族は「自分達の負担も増えて困る」という「恐怖心」が先に立つケースがあり、

ご本人が動きやすい状態になる前に、動くことを強要してしまって「逆効果」になり、

「リハビリの進行の妨げになる」ことがあります。






そうなると、訪問リハビリで介入できる時間が週1回60分だったとしても、

そのご家族など周囲の人が作り出した「逆効果」な状態をまず回復・修正せねばならず、

貴重な時間を何分もそれに取られてしまい、先へ進めるためのリハビリに使える時間が

随分とカットされてしまいます。お気持ちは察しますが、非常にもったいないですね。






さて、上記の大項目のような内容を含む動画は、次回からお送りする予定です。

今回は動画でなく、片麻痺の「疑似体験方法」をご紹介します。





リハビリ専門職は学生時代に授業でよくやる内容ですが、それは、

「イスやベッドに、体の半分だけで座ったり、寝たりしてみること」です。

イスなら左右どちらかのお尻を空中にはみ出させて座り、ベッドなら体の左右どちらの体を同様にします。






これがなぜ片麻痺の疑似体験か、と言いますと、

麻痺がある半身は、触覚などの「感覚」も麻痺しています(程度に個人差はありますが)。

つまり、一見イスに左右両方のお尻で腰かけているように見えても

体(脳)は麻痺側のお尻をあまり感じられていないため、実質、「非」麻痺側のお尻に頼って座ることになります。




そうなると、体の各所の力の入り方が全く異なるものになるのを体験できますし、

それを続ければ、体がゆがんだり、痛みを発したりすることを予想できるようになります。






もし疑似体験をされる場合は、転落などしないよう、充分に「安全確保」して行って下さい。

特に、ベッドに体半分だけ寝るのは若い人でも至難のわざなので、すぐそばに介助者などがいる状態でないと危険です。





もちろん、疑似体験なので、本物の麻痺の感じを味わうことはできませんが、

(むしろ、正座して脚がしびれたり、注射で麻酔を打たれた方が感じは近いかも知れませんが)、




「ああ、片麻痺の人って、こういう大変な世界で生きてるのか」

「これなら、体がゆがんだり硬くなったりしても当然だし、このまま動けと言われても困るよなあ」という

「気づき」があるだけでも、疑似体験してみる価値はあると考えます。





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■編集後記
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私がリハビリ専門職として最初に就職した病院は、

患者さんのほとんどが脳卒中など中枢神経疾患の患者さんという所だったので、

麻痺がある方がほとんどでした。




身体能力が一変してしまって、ご本人は当然大変なのですが、

生活が一変してしまったご家族も、本当に大変なのを日々感じていました。




私が動画の中でよく、「ご家族の共倒れも防ぎたい」と繰り返し言うのは、

そういう背景もあるためです。





高齢化で「人生100年時代」に入るけど、「少子化」でもあるということは、

脳卒中後遺症者も増えるけど、リハビリ専門職は今より更に人手不足になる可能性が高い、ということです。

つまり、介護だけでなく、

「ご家族がリハビリもする時代」に、もう突入していると考えます




そうであれば、

「安全・簡単・それでいて効果が出る→だから無理なく継続できる」という、リハビリの方法が世の中に必要ですね。

私の方でも、少しでもそのお役に立てれば、と出版や動画作成などを通して、情報を出させて頂いています。





最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46