第145号:レナト式リハビリのフロー49:移動(車椅子)介助で困っている3

 

 

 

<第145号(2022.1..29)>

 

 

 


 

☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 


発行人の理学療法士 レナトです。いつも読んで下さり、ありがとうございます。

第97号からは、私のホームページ内にある「レナト式リハビリのフロー」に関するメルマガをお届けしています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、引き続きよろしくお願い致します。 







第145号は、こちらです↓


■レナト式リハビリのフロー49

  「移動(車椅子)介助で困っている3」



■編集後記:冬季五輪が始まりますね





_______________________

■レナト式リハビリのフロー49

  「移動(車椅子)介助で困っている3」

_______________________



今回のタイトルページまでのルートは、フローのスタートページか

「ご家族に、介護やリハビリを必要とする高齢者などがいる人」↓

「ご家族の介護・介助負担の軽減(=ご本人の身体能力向上→その結果として医療・介護費の軽減)」↓

「あなたは、高齢のご家族をケアする際に、特にどの介助で困っていますか?」↓

「移動(車椅子)介助(で困っている)」↓

https://no-pain-yes-gain.com/free/w210










前回からは、車椅子介助で比較的大変な「段差昇降」のお話に入っています。

屋内の段差も多少大変ですが、屋外の段差などは尚更大変です。

段差自体が傾いていたり、対向者や自転車が来て焦ったりしやすいので、ラクにサッと行いたいですね。

疲労の積み重ねはジワジワきいて来るので、介助者はできるだけ心身のエネルギーを節約して下さい。








前回は、上記URL内の関連動画に関して、「昇時」の場面における前輪の浮かせ方についてご紹介しました。

おそらく一般的・教科書的には「(ティッピング)レバーを踏む」とだけ伝わっていることが多いのですが、

それだけだと力の伝え方が不十分で、車椅子に乗っている人が重い場合など、なかなか大変というお話でした。

そういう「実際はこうした方がラクな場合が多い」という工夫や方法は他にもあるので、動画の内容を引き続きご紹介します。







段差に昇る際、車椅子の前輪を挙げるところまでは出来たけど、そこからどうするのか。

前輪を段差に載せて安定させ、車椅子を押し上げることになりますが、これも相手が重いと結構大変な作業です。

一般的・教科書的な方法だと、なぜ大変なのでしょうか? 物理的な理由が、主に2つあります。

一つは、お互いの重心が離れていること、

そして、もう一つは(人体の中では比較的小さな)両手で重い相手を押していること、です。








一つ目(重心の距離)に関しては、ベッド付近での介助方法などを習ったことがある人であれば、すぐにピンと来るかと思います。

お互いの重心が離れてしまうと、効率が悪くなり、余分に力を浪費することになりますね。

車椅子で段差を昇る際もしかりで、レバーを踏んで、両手でハンドグリップを持ったまま車椅子を押し上げようとすると、

お互いの重心が離れているため不安定ですし、余分な力が必要になります。しかも、手や手首が痛くなりかねません。







二つ目(両手で押している)は、生み出せる力の大きさは、太さ(断面積の大きさ)も関係するというお話です。

木に例えると、細い枝よりも太い幹の方が強そうなのはイメージできるでしょう。

人体で言うと、腕よりも脚の方が太くて強いし、脚よりも体幹の方が更に太くて強いので、より大きな力を生み出しやすいです。

だったら、重い相手が乗った車椅子を、介助者は自分の「体幹で押した方がラク」ということになりますね(両手はハンドグリップを握ったままですが)。







イメージは動画の中でご紹介しています(体幹を寄せるのは、段差に載せる前からでも載せてからでも、やりやすい方でOKです)。

体幹で車椅子を押し上げるようにすれば、お互いの重心が近く安定する上に、余分な力が不要になります。

その上、断面積の大きな体幹で押すため、ラクに押し上げることが出来ます(段差を降りる際は、体幹を寄せたまま車椅子を引いて降ろします)。

可能ならご自分で車椅子に座り、他者に協力してもらって段差昇降を比較体験してみるといいでしょう。

体幹で押し引きする方法の方が安定感があるため、介助してもらう側としても「安心感」が増しますよ。








もちろん、介助は「安全第一」なので、今回ご紹介した方法が合わない人はムリしないで下さい。

介助は、介助者・相手の体格や、環境、スキルなど、色んな要素を踏まえてベストな方法が割り出されるため、

他者にとってベストな方法が、あなたにとってベストとは限らないからです。

車椅子介助のお話はひとまずこの辺にして、次回からは「歩行器」の介助に進みましょう。







_________________
■編集後記
_________________


もうすぐ冬季五輪が始まります。

もしかしたら、私は冬季の方が好きな競技が多いかも知れないので、コロナの拡大は心配ですが、競技自体は楽しみです。

アスリートたちは鍛え上げた肉体と練り上げた戦略を世界最高レベルで競い合うわけですが、

「理にかなった力の使い方」が大事になるのは、前述の車椅子介助と本質的に同じですね。







選手間で体格差や筋力差、体力差など色々あるため、「己を知る」ことがあまりにも大事になります。

「他者がやっているから自分も同じようにやる」という段階があっても良いとは思いますが、

「もっと自分に合った方法があるのでは?」という視点を持ち続けないと、思考停止して結果も頭打ちになりかねません。

介助方法もしかりです。指針として「一般的・教科書的な方法」は存在して欲しいですが、

「本当にあなたのケースに合っているのか」は、常に検討する必要がありますね。







日本人は元々、欧米人などに比べて肉体的な不利が少なくないため、技や工夫を磨いて来ました。

介助方法なども、安全面に配慮しながら、もっと色々な工夫を生み出し得るでしょう。

IT革命により、より良い方法がどんどんシェアできる時代になりました。

あなたに合う方法を模索してみて下さいね。








最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)





・メルマガのバックナンバー:https://no-pain-yes-gain.com/free/w46

・「レナト式リハビリ」のフロー(一部まだ作成中):https://no-pain-yes-gain.com/free/w172