第78号:在宅生活の環境整備8:家の中で「杖」を使うのは、こんな場合があり得ます

 

 

 

 

<第78号(2020.10.10)>

 

 

 


☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 


こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています







最近は、「在宅生活の環境整備」に関する動画をご紹介しています

もともと、超高齢社会で病院のベッド数が不足したり、

高齢者施設は(職員不足で)入所制限がかかったり、と

病院や施設に入れないから「自宅で」「在宅医療を」という人が増える傾向にありました。







仮に施設などに入れるとしても、住み慣れた自宅で何とか生活を続けたい人や、

経済的な問題で(在宅医療の方が費用が抑えられるという理由で)在宅生活の継続を選ぶ人も少なくありません。

ならば、少しでも在宅生活を継続できるよう、留意点や工夫などをご紹介して行きます。








第78号は、こちらです↓


■在宅生活の環境整備

  「家の中で『杖』を使うのは、こんな場合があり得ます」



■編集後記:「理性(頭)」で相手を抑え込むだけでは、導入が難しくなりやすいです




_______________________

■在宅生活の環境整備

  「家の中で『杖』を使うのは、こんな場合があり得ます」


_______________________




「自分自身のこと」は意外に自分で分かっていないように、

「自宅」のことも、意外に分かっていない場合があります。

そのために「転倒で大ケガ→入院→施設入所→自宅へ戻れず」とならないように、

こういうことに留意して下さいね。↓







「【在宅生活の環境整備】家の中で『杖』を使うのは、こんな場合があり得ます」(3分1秒)
https://www.youtube.com/watch?v=Q75PnZxj4FU&list=PL87Hh0oDQOdeUBEyBBSF_5nPIYjIR7rnG&index=8








動画の中では、

1.「家の中では伝い歩きが多いイメージだが、杖を使う場面もあり得る」

2.「手すりやタンスなど手を置けるものが途切れている所で、杖を使う」

3.「ご本人が最初は、杖使用にノリ気でなくても、慣れて使い始める可能性はあるので、無理強いせずに促す」

などについてお伝えしています。









「杖は屋外で使うもの」という先入観を手放してもらえば、かなり当たり前な使い方の話になります。

移動能力が低下し、動作が不安定。手すりやタンスなど手を置ける場所ばかりではないので、

手を置くものが無い場所では「杖」を使う、というだけの話です。

手を置けるものがある場所では、杖を反対側の手に持ち替えればいいですからね。









ただ、高齢者に屋内での杖使用を導入する際によくあるのが、

「ご本人がノリ気でない」というケースです。

「使いづらい」とか「重い」とか、理由は色々述べますが、本心は分かりません。

単に変化を嫌ったり、新しい物を導入するのが億劫なだけの可能性もあります。









ご家族がいる前では、「オレは杖なんて使うものか」のような反応を見せる人でも、

杖を設置しておけば、使っている場合もあります。

「使いづらい」のは、これまで使っていなかっただけの可能性がありますし、

「重い」のは、これまで大した重量の物を持っていなかっただけかも知れません。








ご本人が最初に拒否したからと言って、そこであきらめたり、ご家族が無理強いしたりすると、

ご本人のポジティブな「変化」を呼び込めなくなる可能性があるので、粘り強くアプローチしてみる必要があります。

4点杖などは介護保険で(今のところ)レンタルできますし、

お試しで1週間程度なら無料で貸してもらえる場合が多いので、活用してみると良いですね。








_________________
■編集後記
_________________


「理性」と「感情」は、次元が異なります。

「理性=頭」と「感情=心」に置き換えても同じです。

相手が今はどちらの次元で話しているのかを判断しながら対応しないと、

お互いにすれ違ったままで、結局うまく行かないことが多いです。








例えば、今回の「杖」の導入に関してもそうですが、

ご本人が「心(感情)」の次元で嫌だと訴えているのなら、

ご家族や医療福祉関係者がすぐに「頭(理性)」で抑え込もうとすると(説明して納得させようとすると)、

次元が異なる対応をしてしまっているため、うまく行かないことが多いです。








その場合は、杖を勧める側も同じく「心(感情)」の次元にモードを合わせ、

「そうですよね。ちょっと重いですよねえ」などと相手に寄り添い、「ガス抜き」をしてあげると、

相手は「そうなんだよ。これこれがイヤなんだよ」と堰を切ったように話を始めることがあります。

一通りガス抜きが終わると、人間は自然と「頭(理性)」のモードに切り替わりやすいので、

そのタイミングを見計らって、杖の効用など「頭(理性)」の話をすると、受け入れてもらえる可能性が高まりますよ。











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46