第72号:在宅生活の環境整備2:手すりは、「本当に使えていますか?」

 

 

 

 

<第72号(2020.8.29)>

 

 

 

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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています







前回からは「在宅生活の環境整備」に関する動画をご紹介し始めました。

もともと、超高齢社会で病院のベッド数が不足したり、

高齢者施設は(職員不足で)入所制限がかかったり、と

病院や施設に入れないから「自宅で」「在宅医療を」という人が増える傾向にありました。







仮に施設などに入れるとしても、住み慣れた自宅で何とか生活を続けたい人や、

経済的な問題で(在宅医療の方が費用が抑えられるという理由で)在宅生活の継続を選ぶ人も少なくありません。

ならば、少しでも在宅生活を継続できるよう、留意点や工夫などをご紹介して行きます。








第72号は、こちらです↓


■在宅生活の環境整備

  「手すりは、『本当に使えていますか?』」




■編集後記:「失敗学」は大事ですね





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■在宅生活の環境整備

  「手すりは、『本当に使えていますか?』」

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「自分自身のこと」は意外に自分で分かっていないように、

「自宅」のことも、意外に分かっていない場合があります。

そのために「転倒で大ケガ→入院→施設入所→自宅へ戻れず」とならないように、

こういうことに留意して下さいね。↓







「【在宅生活の環境整備】手すりは、『本当に使えていますか?』」(4分8秒)

https://www.youtube.com/watch?v=-7tkLgNYyYY&list=PL87Hh0oDQOdeUBEyBBSF_5nPIYjIR7rnG&index=2








動画の中では、

1.「高齢者など『視力』の問題があると、手すりを『つかみそこねる』危険性がある」

2.「独居高齢者などは、暗めの電灯を使っていたりする」

3.「手すりの色や模様が壁と同じだと、コントラスト不足で捉えにくい」

4.「手すりに頼る割合が高い人がつかみ損ねると転倒するため、身体能力の向上も並行して行う」


などについてお伝えしています。









高齢者が自ら「私自身のために手すりを設置しよう」というケースは、ほとんど聞きません。

動きが不安定になって来たのを見て、ご家族など周囲の人が心配して、手すりを設置するケースがほとんどですね。

しかし、周囲の人が設置しただけに、「ご本人がちゃんと使えているか」というチェックは甘くなりがちです。

特に、独居の高齢者などは、ご家族が一緒にいてチェックできる機会が乏しいので、より注意が必要ですね。








周囲の人が気づきにくい点がいくつかありますが、その一つは、ご本人の「視力」です。

例えば、ご本人の「視野」がどのようになっているか(見えていない方向がないか、など)を確認せず、

「はい、手すりは設置したからね、あとは頑張ってね」のような感じでは、

ご本人は、うまく使えない可能性がありますね。








動画の中にも登場しますが、手すりを更に「捉えにくくする要素」としては、

電灯が暗かったり(独居高齢者など、電球や電灯を取り換える意識が乏しかったり、交換作業自体が困難な場合があります)、

手すりと壁の色や模様が同じ場合、コントラスト不足で、手すりを捉えにくくなる可能性があります。

例えば、木目調の柱に木目調の手すりが設置されていると、見た目には美しく感じますが、

ご本人の実用性からすると、手すりをわざわざ「捉えにくい設定にしている」可能性があるわけですね。








身体能力が低くて手すりに頼る割合が高いと、

もしつかみそこねて「空振り」する場合、転倒するリスクが高くなります。

手すりを設置して終わりではなく、リハビリで身体能力向上のアプローチを並行して行う必要がありますね。

体の支えが強くなったから、「そういえば、最近手すりを使わなくなってる」となるのが望ましいですね。













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■編集後記
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最近は、自らの失敗の経験を語って他者と共有する「失敗学」が一般化して来ました。

とても良いことですね。日本人は文化的に、失敗(エラー)を極端に怖がる民族とも言われており、

外国人のような「トライ&エラー」を繰り返してメキメキ上達するのが、どちらかと言えば苦手ですもんね。

例えば、語学学習でも、「正しい英語が話せるようになるまでは、(恥ずかしいから)話さない」のような意識が典型的でしょうか(苦笑)。







教育とも関わるかも知れませんが、

人間はいきなり「正解」を教えられても、身につくとは限りません

「なぜ、それが正解になるのか」、「これではなぜ、ダメなのか」など、

自らの体験を通して「道筋」が分かったなら、「それが最善だね」と自分の頭で判断でき、実践できますもんね。







ただ、在宅生活における「危険」などに関しては、

大ケガなど、取り返しがつかない場合があり得るので、

決して「ご自分で経験して、正解を身につけて下さい」というわけには行きません。

なので、他者からの情報(特に、失敗の事例)などは、有効に活用して下さいね。











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


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