第59号:介助方法「ベッド上の移動編:その2 寝転がってもらったけど、頭が枕に届いてない場合

 

 

 

 

<第59号(2020.5.30)>

 

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






現在はコロナウイルス騒動の渦中にあり、高齢者がデイサービスなどに行けないケースも出ているため、

「介助方法シリーズ」をお送りしています(以前、別なシリーズで登場済の介助関連動画も、必要に応じて再登場させる予定です)。

コロナ騒動前のような運動やリハビリが出来ていないと、高齢者の身体能力(動作能力)は低下しやすく、

低下した分は誰かが(特にご家族が)補う必要があるため、「介助量」が増えやすいですからね。







59号は、こちらです


介助方法「ベッド上の移動編:その2」

  【ベッド上の介助】枕に届いていないので、頭側へ移動する(全)介助方法



編集後記:体重(重力)の利用は、とても大事です



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【ベッド上の介助】枕に届いていないので、頭側へ移動する(全)介助方法
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私はリハビリ専門職なので、単なる介助方法ではなく、

「リハビリ効果もある介助方法」のお話をさせて頂いています(カンタンですよ)。







介助対象者の設定としては、要介護度が高い(ご本人があまり動けない)ケースを優先しています。

今回は、起き上がり介助の逆の「寝転がり介助」に関連する「おまけ」の話です。









「【ベッド上の介助】枕に届いていないので、頭側へ移動する(全)介助方法」(3分2秒)

https://www.youtube.com/watch?v=Iund57HRgdQ&list=PL87Hh0oDQOdcvOYWW0DkyEWhprXi-jWff&index=8






動画の中では、

1.「スライドシートなど道具を使う方がラクならそれでいい。ラクに介助しないと大変」

2.「相手の体を介助で動かす基本は同じ。(相手の体とベッドとの)接地面積は小さいほど動かしやすくなる」

3.「介助者は腕の力よりも、自分の体重などを使う方がラク」

4.「介助者は自分の健康を守らないと継続できない」

などについてお伝えしています。








相手の動作能力が低く、全介助のような状態では、

要領よくやらないと、ベッド上の介助は大変になりがちです。

人体は小柄な人でも、けっこう重いですからね。

ですが、必ず「理にかなった方法」はあるので、一つ一つやって行きましょう。







道具を使う方がやりやすい方は、それでいいです。

ベッド上で相手の体をスライドさせるシートのようなものもありますからね。

ただ、そういうものが無い場合や、使いにくさを感じる場合は、

人体を動かす(介助する)基本的な要素を、今回の介助でも使ってみましょう。







「連結」や「接地面積を小さくする(回転でもスライドでも同じです)」ことなどは、これまでの動画でもお伝えして来ました。

今回新たに登場した基本要素は、「介助者は自分の体重を利用する」ということです。

体重なので、「重力」を利用すると言ってもいいですね。

腕の力は、鍛えている人は別としても、華奢な女性の介助者などではあまり使えません。







今回の動画の中では、仰向けになっている相手に対し、

ベッドとの接地面積を小さくすべく介助者の方へ向けて相手の体を引き寄せる(体の半分を起こす)作業が登場しますが、

これを介助者が自分の腕力で引き寄せようとすると大変です。

そうではなく、腕の角度は変えずに、介助者自身が後下方へ重心をズラして行くと、

相手の体は介助者の体重(重心)移動によって、介助者の方へ自動的に引き寄せられて来ますよ。









また、枕まで距離があって、相手の体をベッド上でスライドさせる場合も同様で、

介助者は自分の立ち位置をやや枕よりにした上で、

介助者の体重(重心)移動で相手の体を引き寄せれば(スライドさせれば)、

腕力を使わず、比較的ラクに相手の体を枕へ近づけることができます。







ベッド上の介助技術向上と並行しながら、

相手の(ベッド上での)動作能力の向上を進めたいですね。

レナト式リハビリでは元々、「あまり動けない人」へのリハビリの方法をご紹介して来ていますので、

「相手が自分で動ける能力が高まる=介助量が減る=介助者の負担も減る」という

「好循環」な図式へ持って行きたいですね。







今回まではベッド上での介助方法として、

起き上がって腰かけてもらうところまでやりましたので、

次回からは「立ち上がり介助」に進みます。

やはり、「リハビリ効果もある」介助方法をご紹介する予定です。







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編集後記
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今回の動画では、介助者が自分の「体重」を利用する話が登場したので、

「力」に関して、少しお話しします。







ざっくり言うと、「力」を発揮するには、

「筋力」を使うか、「重力」を利用するか、のどちらかになります

(基本は混合ですが、割合の大小の話です)。







次回ご紹介予定の「立ち上がり」にしても同様で、

「筋力」で立ち上がっているようなイメージがあるかも知れませんが、

実際は「重力」をうまく利用しています。







仮に、「筋力」だけで立ち上がろうとすると、

腰かけた状態から「真上に」立とうとするようなもので、

とても大変な動作になってしまいます。

そんな大変な動作は、一日に何回もやりたくないですね。







人間は、健康な状態で動けていた時には、

無意識にでも「重力」をうまく利用できる状態だったから、

何十kgもある重い体を、立ち上がらせたり、長距離移動させられたりできたわけですね。







なので、リハビリの大事な方向性の一つは、

「再び重力を利用できる状態に戻す(近づける)こと」になります

では具体的にどういう状態にすればいいのか・・そんな話も織り交ぜながら、

次回の「立ち上がり介助」の方法をご紹介できればと思っています











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46