第58号:介助方法「ベッド上の移動編:その1 起き上がったけど、左右のお尻の位置が不揃いな場合

 

 

 

 

<第58号(2020.5.23)>

 

 

 








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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






現在はコロナウイルス騒動の渦中にあり、高齢者がデイサービスなどに行けないケースも出ているため、

「介助方法シリーズ」をお送りしています(以前、別なシリーズで登場済の介助関連動画も、必要に応じて再登場させる予定です)。

コロナ騒動前のような運動やリハビリが出来ていないと、高齢者の身体能力(動作能力)は低下しやすく、

低下した分は誰かが(特にご家族が)補う必要があるため、「介助量」が増えやすいですからね。







第58号は、こちらです↓


■介助方法「ベッド上の移動編:その1」

  【ベッド上の介助】お尻の位置が揃っていないので、前へ移動する介助方法



■編集後記:コロナ騒動の影響で、医療・介護職の希望者が減らなければいいですが



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■【ベッド上の介助】お尻の位置が揃っていないので、前へ移動する介助方法
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私はリハビリ専門職なので、単なる介助方法ではなく、

「リハビリ効果もある介助方法」のお話をさせて頂いています(カンタンですよ)。







介助対象者の設定としては、要介護度が高い(ご本人があまり動けない)ケースを優先しています。

今回は、「起こしてベッドに腰かけてもらったけど、お尻の位置を修正しなければいけない場合の介助」の話です。↓









「【ベッド上の介助】お尻の位置が揃っていないので、前へ移動する介助方法」(3分9秒)

https://www.youtube.com/watch?v=HXSxVDb8614&list=PL87Hh0oDQOdcvOYWW0DkyEWhprXi-jWff&index=9






動画の中では、

1.「起き上がり介助において、回転不足はよくあること」

2.「ご本人がお尻の位置を修正できない人は、介助で骨盤を回転させて揃える必要がある」

3.「骨盤の回転は片方の座骨を支点に行う」

4.「介助者は、自分でベッドに腰かけて、どういう動きになるか体験した方がいい」

などについてお伝えしています。








回転不足で左右のお尻の位置が不揃いなままベッドに腰かけていると、姿勢自体が不安定ですし、

その後の立ち上がりや、車椅子への移乗なども当然しにくくなります。

体格の大きい人を起こした場合など、回転不足はよく起こり得ますが、

その後の修正の介助方法を知っていれば、問題ありません。







「坐骨(ざこつ)」という骨盤下部の左右の骨の出っ張りの「片方」を

回転の支点として利用するのは前回の動画と同じ要領です。

左右両方の坐骨に体重が載ったままでは、当然回転させにくいので

力づくで回転させることになってしまい、介助者は疲れてしまいます。







介助をする場合は、介助される人の立場を体験してみるのは大事で

このお尻の位置を変える介助も、誰かからやってもらうと色々と感じられます。

協力者がいない場合は、ご自分で(左右のお尻の位置を揃える)動きをやってみるだけでも、

「片側のお尻を浮かせて前へ運ぶには、上半身はこのくらい後傾しないと浮かないんだな」など

発見が色々とありますよ。







起き上がり介助の際に、頭・胴体・骨盤の「連結」をつくりましたが、

これを「維持したまま」相手のお尻の位置を修正しますので、

これまでお伝えして来たように「リハビリの効果」があります。

本来はご本人が行う「連結」を介助でアシストすることで、

「連結」に使われる筋肉の収縮を促している(強化している)からです。








最近は「起き上がり動作」に関する一連の介助についてお伝えしていますが、

その逆の「腰かけた状態から寝転がる動き」の介助方法に関しては

基本的には「起き上がり動作」の逆(リバース)の動きをすればOKです。

頭・胴体・骨盤を「連結」し、片側の坐骨を支点に回転させながら、寝転がって行きます。








ただ、寝転がり介助の時によく起こることで、

「寝転がってもらったけど、相手の頭の位置が枕に届いていない」ということがあります。

寝転がった姿勢から逆算して腰かけの位置を設定したはずだったのに・・という場合、

寝転がった状態の「あまり動けない人」を、枕まで数十cm移動するのは、うまくやらないと非常に疲れる介助になります。

次号では、その「枕に届いていない場合の介助方法」に関連する動画をご紹介する予定です。










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■編集後記
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ニュースを観ていると、医療・介護現場のスタッフやその家族に対する

偏見というか、差別というか、周囲の人々からの冷たい視線や対応などが周囲にあり、

ただでさえ感染リスクの高い環境で奮闘している人々を更に苦しめているようです。







そういう偏見は、歴史を振り返ってもよく起こることなので想定内ですが、

困るのは今後、その影響で、医療・介護職を希望する人が減ってしまうかも知れないということです。

ただでさえ、超高齢化・労働力不足、介護職希望者の少なさ、(医療・介護現場での)外国人労働者の定着困難などの問題が多い分野なので、

今回のコロナ騒動の影響で、(短期~中期的に)医療・介護職を希望する人が減るのは、非常にダメージが大きいと考えられます。








需要と供給にギャップがあると、誰かが埋めなければなりません。

それはご家族が埋めることになる可能性が高いので、

そうであれば、できるだけ理にかなったラクな方法で、

持続可能な介護やリハビリを、ご家族におこなってもらいたいです

微力ですが、私からの情報が少しでもお役に立てば、と願っています。











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46