第54号:介助方法「基本編:その2 電動ベッドの操作」

 

 

 

 

<第54号(2020.4.25)>

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






現在はコロナウイルス騒動の渦中にあり、高齢者がデイサービスなどに行けないケースも出ているため、

前号からは「介助方法シリーズ」を始めました(以前、別なシリーズで登場済の介助関連動画も、必要に応じて再登場させる予定です)。

コロナ騒動前のような運動やリハビリが出来ていないと、高齢者の身体能力(動作能力)は低下しやすく、

低下した分は誰かが(特にご家族が)補う必要があるため、「介助量」が増えやすいですからね。







第54号は、こちらです↓


■介助方法「基本編:その2」

  【ベッド上の介助】ベッドの角度は少しずつ段階的にで、痛みを回



■編集後記:相手の立場で

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■【ベッド上の介助】ベッドの角度は少しずつ段階的にで、痛みを回避
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前号では「介助者自身を(腰痛から)守る動画」をお伝えし、

今回は電動ベッドの操作のお話です。

特に、要介護度が高く、長期間(長時間)臥位で過ごす方に起こりやすい「痛み」への対応です↓







「【ベッド上の介助】ベッドの角度は少しずつ段階的にで、痛みを回避」(4分15秒)

https://www.youtube.com/watch?v=RJtLVq_lE6Y&list=PL87Hh0oDQOdcvOYWW0DkyEWhprXi-jWff&index=10






動画の中では、

1.「電動ベッドの背もたれ角度を変えると、相手が痛がる場合がある」

2.「臥位→座位に近づく場合、体の背面(の筋膜)には引き伸ばされる力が加わり、痛みが出やすい」

3.「段階的に角度を変えながら、相手の体をなじませながら行うと、痛みが出にくい」

4.「介助者は、可能ならご自分で電動ベッドに寝て、背もたれ角度の変化を体験すると色々と分かる」

などについてお伝えしています。








以前のメルマガで「痛みシリーズ」をやっていた頃に、「筋膜」が硬くなる話をよくさせてもらいました。

「筋膜」は全身タイツのようなもので、本来は伸縮性があるのに、

長期間(長時間)の不動や気温の低下などで、硬く伸びにくくなってしまいます。

イメージとしては、ゆとりが全くないキツキツの(上下つなぎの)服を着ているようなもので、

動こうとしても、その「伸びなさ」がジャマします。








動きをジャマされるだけでなく、「痛み」につながるため、やっかいです。

伸びにくくなっているのに、無理に引っ張られると、悲鳴を上げる(痛みを訴える)のは当然ですもんね。

全身を覆う「筋膜」が伸びにくくなっているのに、体を起こそうとすると、

特に体の背面(背中や腰など)の「筋膜」が引っ張られ、「痛い!」と叫ぶ方が少なくありません。








電動ベッドの背もたれ角度を変えて、体を起こそうとする際も同じことが起こり得ます。

急に角度を変えて行くことで、硬くなっている「筋膜」が急激に引っ張られるためです。

これでは、相手の方は毎回「痛み」や「恐怖」と闘わねばならなくなり、

我慢できなくなると、介護・介助の拒否につながりかねません。







対応は、今回の動画内でもお伝えしていますが、

痛がる場合は、背もたれの角度を、数回にわけて変えて行きます(角度もわずかずつ変えて)。

本来なら、臥位の状態の時に、全身をほぐしてあげてから起こせると良いのですが、

介助者にそれなりの労力が必要になるため、今回の動画内では「ゆすって緩める」方法などもご紹介しています。







ちなみに、今回の動画内でご紹介した、関連動画は以下になります





「【家族もできるリハビリ】起き上がり:背面が硬いと、イスからの「ずり落ち」や「誤嚥」にもつながります」(2分32秒)

https://www.youtube.com/watch?v=2TU1DQW00oc&list=PL87Hh0oDQOdeDW4HobWyu55viPfhwKc92&index=9




「【家族もできるリハビリ】体の硬さ←軽くゆすってあげましょう!」(2分31秒)

https://www.youtube.com/watch?v=N3oy_n60b3E&list=PL87Hh0oDQOdeoeOvexjky3MmT_eAW8-kn&index=1








今後のメルマガでは、実際に相手の体に触るお話に進んで行きますが、

その時に基本になる「体の連結」に関して、先にお伝えする予定です。

これを無視して相手の体を動かそうとしても、理にかなっていないため、

動かしづらいですし、相手の方にとっても不快な動かされ方になってしまいます。







「連結」は「リハビリ効果」もあるのがポイントです。

「連結」を意識した介助は、行う度に、相手の動作能力を向上(維持)し得るのですが、

「連結」を無視した介助だと、むしろ、相手の動作能力を低下させ、その分さらに介助量が増し、

介助者が自ら、介助負担を増やすことになりかねません。

「急がば回れ」なので、一つひとつ一緒にやって行きましょう。





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■編集後記
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「体験してみる」というのは、大事なことですね。

介護用ベッドなども、介助者が「試しに寝てみる」と、色々なことが感じられます。

例えば、背もたれの角度を急激に変えると、ご自分の体のどこがどう引っ張られるか、

どうしてもらった方が安心できそうか、などなど。







「相手の立場で配慮してくれる人」

私なら、そういうスタンスの人を信頼しますし、

「自分本位で配慮ができない人」

私は遠慮したいです。自分が介助される側なら「拒否」したくなります(笑)。







不足しているのは「専門知識」云々ではなく、

「利他の精神」や「心意気」である場合は、

介助は(介助も)うまく行かない可能性が高まってしまいます。

「人間性」が問われる場面かも知れませんね。








最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46