第51号:福祉用具「杖編:その1」

 

 

 

 

<第51号(2020.4.4)>

 

 

 







☆★☆──────────────────────────────────────

家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

───────────────────────────────────────── 

こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






前号からは「杖」に関する情報も出始めました。

ご本人が自分の脚で体を支えられる割合が高まれば、歩行器→杖へと変更して行けますし、

逆に、その割合が減ったら、杖→歩行器へと戻して行かねばなりません。






杖の中でも4点杖や1本杖のように種類がいくつかありますが、

底面積が狭いものほど不安定性が高いので、

1本杖を使用する場合というのは、ご本人が自分の脚でかなり体を支えられている状態が前提です。

今回の動画では、じゃあ杖の選択は適切に行ったとして、「左右どちらの手で使うのか」というお話です↓






第51号は、こちらです↓


■福祉用具「杖編:その1」

  「どちらの手で、杖を使えばいいの?



■編集後記:「非」利き手の練習も、「意識」次第です



_______________________

■どちらの手で、杖を使えばいいの?
_______________________


前提としては、「左右の脚の支える力に、差がある場合」の話とします

(左右両脚とも支えが弱い場合は、杖は適用にならず、歩行器や車イスになります)。

結論から言うと、基本は、

「弱い脚とは『反対側の手』で杖を使用します」↓







「【杖の使い方】どちらの手で、杖を使えばいいの?」(5分8秒

https://www.youtube.com/watch?v=kq5cZdCYOEA&list=PL87Hh0oDQOde7Zxl53HnAbaGAnEKGg0_8&index=2






動画の中では、

1.「弱い脚の側の手で杖を使うと、重心が弱い側へ寄ってしまい、危険」

2.「強い脚の側の手で杖を使うと、弱い脚に体重が載る際に、支持の負担の何割かを杖(腕の力)で補える」

3.「非利き手で杖を使う場合は、慣れるよう(少しずつ)練習しながら」

4.「道路の形状次第では、介助をつけた方が無難」

などについてお伝えしています。







「物理的には、杖をこちらの手で使った方が安全」という話がメインですが、

ご本人の性格や道路の形状など、トータルで判断し、

必要があれば介助をつけるなど、「安全第一」でやってもらうのがいいですね。






1本杖の種類の話もしておくと、

「高さ調整」ができるタイプがいいです。

時々、木製の高さ調整ができない1本杖を見かけますが、

「〇〇さんにもらったから、使ってる」という方が多い印象です。

ご自分の体格や姿勢に合わない杖を使うと、色々と悪影響があり得ますね。






他にも、レアケースですが、以前ある老紳士から、

「ステッキでもいいですか」ときかれたことがあります。

ステッキ自体は素敵なのですが、完全に「おしゃれ用」のものはお勧めできません。

やはり、体を支える機能を重視したタイプがいいですね。






最後に、1本杖(あるいはスキーのストックのような杖)を、

左右両手に使う方をたまに見かけますが、

まず、「両手がふさがっていて危ない」という意味で、お勧めできません。

更に、ある程度、両手を広げて使わないと2本の杖を使えないでしょうから、

日本の狭い道路や歩道では、色々ありそうで怖い、という意味でもお勧めできません。






さて、ご本人が独りで安定的に杖歩行できているのなら良いのですが、

そうでもない場合は「介助」をつける必要があります。

次回は、杖における「歩行介助」の話へ進んで行く予定です。





_________________
■編集後記
_________________


前回は人々の「意識」の話をさせてもらいました。

今はコロナウイルス騒動の渦中にあり、

人々の「意識」次第で、パニックにも明るい未来にもなり得ること

多くの方が実感されている状況でしょう。







今回ご紹介した動画の中に、

「非利き手での杖使用を嫌がる人(利き手に固執する人)に無理強いしない」

という内容が入っていますが、実際は「意識」を変えると、

非利き手は「かなり使える」ようになります。







いきなり箸を非利き手で使おうとしても、

食事に時間がかかり過ぎて挫折しかねませんが(笑)、

例えば、ゴミ箱へ紙屑を投げ入れる人であれば、

非利き手で投げ入れるように「意識」するだけでも、

非利き手の感度が上がってきます(実際、投げていれば)。






家事においても、例えば、浴槽を洗うブラシをいつも利き手に持っているなら、

非利き手に持って洗うように「意識」するだけでも、

やはり非利き手の感度は高まってきます(実際、洗っていれば)。

最初は少しまどろっこしい感じがするでしょうけど、

気が付いたら、自然と非利き手でブラシをつかんで洗っていた、ということになってきますよ。







左右両方使えるようになった方が何かと便利ですし、

脳も左右使うことになるので、頭の働きも(機械に油をさすように)スムーズになり得ます。

「意識」するだけで、本当に色々と変わるわけですね。

人間社会は全て「意識」で動いているのだとすると、

柔軟に、より良い方向へ「意識」を変えないと損ですね。








最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46