第49号:福祉用具「歩行器編」

 

 

 

 

<第49号(2020.3.21)>

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






さて、第42号からは「福祉用具シリーズ」が始まり、

特に優先すべきものとして「移動」に関する用具を、且つ、症状のより重い方が利用する用具から、ということで、

「車イス」関連のお話から始め、今回は「歩行器」へ進みます。

本やネットで見つかるような一般的な情報でなく、リハビリ専門職としての経験からのお話をお伝えして行く予定です。






第49号は、こちらです↓


■「福祉用具:歩行器編」

  その8:【歩行器】介助するなら、「後ろから」



■編集後記:「コロナ騒動で自宅待機の高齢者に、レナト式リハビリを」の動画をつくってみました。



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■【歩行器】介助するなら、「後ろから」
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歩行器というと、幼児が屋内で使うものも歩行器ですが、高齢者なども使いますね。

いずれも、移動を補助する用具で、

それがないと立った状態で移動できない(歩けない)ので、使います。






歩行器の中には「車輪」がついているものと、ついていないものがあります。

前者は厳密には「歩行車」と分類され、高齢者が屋外で買い物等にも使う「シルバーカー」もそれに含まれます。

後者は単に「歩行器」と言ったり、持ち上げて前へ進むタイプなので「ピックアップ(式)」と呼んだりします。

今回の動画は、どちらにも共通する、介助に関する要素のお話です







「【歩行器】介助するなら、『後ろから』」(1分35秒)

https://www.youtube.com/watch?v=_JUX_yMziOA&list=PL87Hh0oDQOdcYli_G4UVQs7NDdLDJYKzV&index=1






動画の中では、

1.「歩行器は支柱がある側には転倒しづらい」

2.「支柱のない後方へバランスを崩しやすい人には、不向き」

3.「真下へ落下(尻餅)する危険がある人にも不向き」

4.「歩行器を使う人を介助する場合は、後方から介助するのが基本」

などについてお伝えしています。







介助方法の話の前に、身体能力の程度と、歩行器の「車輪の有無」との関係の話を少ししておきます。

「車輪あり」は、身体能力がより低い場合に使います。

理由は、歩行器に左右の前腕を載せ、ずっと前傾姿勢のまま使うようになっているからです。

つまり、体重支持の何割かを腕の力に頼り続けるわけですね。





一方、「車輪なし」の方は、歩行器を持ち上げて前へ進む必要があるので、

「持ち上げている間」は、体重(+歩行器の重さ)を、自分の両脚で支えられなければ、その動作が成り立ちません。

なので、リハビリにより両脚で支えられる能力が高まったら、「車輪あり→車輪なし」へ移行することになります。

いずれにせよ、それらの歩行器は形状からして、「支柱がない方向」は守られていないことがポイントです。






自宅内で使う歩行器の支柱は、基本的には前方と左右側方にあるので、

仮にそれらの方向へ倒れようとしても、歩行器が抵抗になり、バタッと前や横へは物理的に倒れにくいです。

そうなると、危険なのは(支柱がない)後方ですね。






立った際に「後方へバランスを崩しやすい人」の場合は、「持ち上げ式」を使用することはNGですし、

前傾姿勢で使用できる歩行車の場合でも、両腕を載せる台の高さを調整して、

歩いても後方へ重心が行かないことを確かめないと使えません。






介助者がつく場合は、ご本人が後方に倒れないように位置取りして介助する必要があります。

もし逆に、介助者が前方に位置して、歩行器を手で引っ張るような介助をしようものなら、

ご本人が後方に転倒しそうになっても、救助の手が間に合いませんね。

歩行器の形状と、介助者の位置取りには、このように密接な関係があります。






歩行器の介助は、車イスの介助ほど注意点が多くないので、これくらいにして、

今後は、身体能力がより高まって「杖」へ向かって行く話へ進みます。

併せて、身体能力がこうだから、移動補助具はこれを選ぶ、

そのためにリハビリはこう進めるという話も、して行く予定です。






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■編集後記
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前号の編集後記で、「ご家族がリハビリを」という話を書かせてもらいました。

もともと、超高齢社会・労働力不足なので、

介護同様、「家族がリハビリをする時代」に突入していると考えられるところに、

今回のコロナ騒動で、デイサービスなどに行けない事態が発生しています。






「自宅待機」が続き、しかもその間、リハビリ専門職に頼れない場合、

高齢者の身体能力はどんどん低下しやすくなります。

介護同様、リハビリも、ご家族が安全・カンタンにできて、効果も出しやすい方法があるので、

「なんだ、やれることがあるなら、やろうじゃないか」という認識・意識に変える節目にして欲しいと願います。






つくってみた動画(YouTube)は、こちらです↓




「【コロナウイルス対策】自宅待機の高齢者向け:簡単で効果が出るリハビリ」(3分11秒)

https://www.youtube.com/watch?v=oTEue1iQcB0









最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46