第48号:福祉用具「車椅子編:その7」

 

 

 

 

<第48号(2020.3.15)>

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






さて、第42号からは「福祉用具シリーズ」が始まり、

特に優先すべきものとして「移動」に関する用具を、且つ、症状のより重い方が利用する用具から、ということで、

「車イス」関連のお話から始めています。

本やネットで見つかるような一般的な情報でなく、リハビリ専門職としての経験からのお話をお伝えして行く予定です。





第48号は、こちらです↓


■「福祉用具:車椅子編」

  その7:段差昇降は介助者の体を寄せると、ラクで安全



■編集後記:コロナウイルス騒動で自宅待機の利用者さんには、「ご家族もできるリハビリ」ですね



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■段差昇降は介助者の体を寄せると、ラクで安全
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車イス利用者への介助方法の話の続きになりますが、

今回は、「段差昇降」の介助です。

平地を進むのと比べて、かなり大変な想いをされている介助者の方も少なくないかも知れません。

「理にかなった方法」で、省エネ且つ安全に行えれば、継続的に行えますね、↓






「【車イスの介助】段差昇降は介助者の体を寄せると、ラクで安全」(2分22秒)

https://www.youtube.com/watch?v=bRHHogQPkgY&list=PL87Hh0oDQOdeDg9_IQdK0yZ6GLeTNxHwT&index=4






動画の中では、

1.「一般的な方法(レバーを踏んで昇降のみ)だと、介助者は疲れやすい」

2.「疲れるのは不安定なものを無理に支えているからで、不安定なのはお互いの重心が離れている状態だからでもある」

3.「小柄な介助者が大柄な人が乗る車イスを介助する場合は特に、不安定な方法では危険だし、疲れて大変」

4.「レバーを踏んで浮かした後に、介助者は自分の体幹を車イスに密着させると安定してラク」

などについてお伝えしています。







何事にも「教科書的な方法」と、「実際に有効な方法」とがあり得ますね。

「教科書的な介助方法」は、本やネットで見つかるでしょうが、

実際の介助場面でやってみると、「あれ?」ということがよくあります。

そこは専門職の出番ですね。








何かに対して力を伝えようとする際、

互いの「重心」が離れていると、ムダに大きな力が必要になります

例えば、床に置いてある重い箱を持ち上げるにしても、

箱に自分がしっかり近づいてから持ち上げないと、持ち上げるのが大変だし、

腰などを痛めてしまいそうですね。






車イスの段差昇降介助に関しても、お互いの「重心」が離れたまま行うのは、

理にかなっていません。それゆえ、不安定ですし、

不安定なものを無理に制御しようとすると疲れます。

介助されている相手も、不安定さを感じると「不安」や「恐怖」を感じてしまいます。

やはり、「重心」を近づけるという、物理的な基本が大事になりますね。






春になると、暖かくなり、いろんな花も咲いて来るので、

車イスを介助しながら外へ連れ出してあげたくなります。

でも介助が不安定で大変だと、お互いに気を遣ってしまいますし、

頻繁に出かけにくくもなりかねませんので、

理にかなった方法で、できるだけお互いに無理なく、外の世界を楽しみたいですね。






余談ですが、要介護度の高い人をベッドから起こし、車イスへ移乗した際、

頭が後方へ引かれ、顎が挙がったままの姿勢な場合があります。

仰向けなど、長時間体の背面を体重で押しつぶすような姿勢で過ごしていると、

体の背面の筋膜などが伸びにくくなり、いざ体を起こすと、背面へ頭が引かれた状態になる場合があります。

せっかく離床するのに、誤嚥しやすい姿勢では色々ともったいないので、

それに関する動画も、この機会にご紹介しておきます(動画の1分35秒あたりに、その話が登場します)↓





「【家族もできるリハビリ】起き上がり:背面が硬いと、イスからの「ずり落ち」や「誤嚥」にもつながります」(2分32秒)

https://www.youtube.com/watch?v=2TU1DQW00oc&list=PL87Hh0oDQOdeDW4HobWyu55viPfhwKc92&index=9







最近ご紹介している「福祉用具シリーズ」における「車イス」の動画は、ひとまずここまでにします。

介助量が多いケース(車イス)から、少ないケース(歩行器、杖)に話を進めて行きますので、

次回は、歩行器や杖の使い分け(選択方法)に関する動画を予定しています。

「こういう身体能力の時は、こういう理由で、これを使う」という内容です。





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■編集後記
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人間は、「これでOK」と思い込んでしまうと、その他の可能性を探らなくなる場合が多いですね。

「思考停止」と言ってもいいですし、「メンタル・ブロック(思い込み)」と言ってもいいですが、

いずれにせよ、そのために苦労している人には、「こういう方法もありますよ」と伝える人間が必要になります。






リハビリも、「専門職がやるものだ」と思い込んでいると、「実はご家族でもやれるものがある」という情報が、

耳に入りにくくなってしまいます(無意識にブロックされてしまいます)。

ただでさえ、介護同様、専門職不足で「ご家族がリハビリを行う時代」に突入していると考えられるのに、

今回のコロナウイルス騒動のために、デイサービスなどに行けず自宅待機になった利用者さんには、

この機会に「家族でもカンタンに行えるリハビリはないのか」という方向へ意識を向けてもらいたいです。







そこへ、私のような活動をしている者の情報が届けばいいですね。

私自身、ホームページやSNS(インスタグラム、YouTubeなど)で地道に広報活動も続けていますが、

超高齢社会のピークを迎えるまでに、できるだけ広げたいと願っています。

暗闇の中でもがき苦しむ人を減らすために、情報を必要としている人のもとへ届けるために。











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46