第47号:福祉用具「車椅子編:その6」

 

 

 

 

<第47号(2020.3.7)>

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






さて、第42号からは「福祉用具シリーズ」が始まり、

特に優先すべきものとして「移動」に関する用具を、且つ、症状のより重い方が利用する用具から、ということで、

「車イス」関連のお話から始めています。

本やネットで見つかるような一般的な情報でなく、リハビリ専門職としての経験からのお話をお伝えして行く予定です。





第47号は、こちらです↓


■「福祉用具:車椅子編」

  その6:移乗介助:一緒に落下してしまうのは、なぜ?



■編集後記:限られたマンパワーで在宅生活をできるだけ継続するには→「家族がリハビリをする時代」の認識を



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■移乗介助:一緒に落下してしまうのは、なぜ?
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前号からは、車イス利用者への介助方法の話に入っています。

まずは、車イスへの乗り降り(移乗)に関する動画から始め、

前号では、「移乗時は最短距離で移動する設定にすれば、色々と理にかなっている」という動画をご紹介しました。

今回も移乗関連ですが、「(全介助など)介助量が多い場合に見られる問題」に関する動画をご紹介します↓






「【車イスの介助】移乗介助:一緒に落下してしまうのは、なぜ?」(5分37秒)

https://www.youtube.com/watch?v=Cvdod-boRdw&list=PL87Hh0oDQOdeDg9_IQdK0yZ6GLeTNxHwT&index=6






動画の中では、

1.「移乗介助の際に、介助者とご本人が一緒に落下してしまうのは、危険」

2.「ご本人が動きにくい(要介護度が高い)場合に起こりやすいが、どういう仕組みか」

3.「どうしても一人で介助せざるを得ない場合の対策を考える」

4.「密着状態や高低差が鍵になるので、どう対処するか」

などについてお伝えしています。






「落下」というのは、例えば、車イスからベッドに移乗する際に、

介助者が利用者ご本人を「浴びせ倒す」ように、一緒にベッドに倒れ込むような現象です。

ベッドのマットレスなどがクッションの役目を果たすとは言え、

落下は怖い(精神心的な緊張を高める→筋緊張を高め→体を硬直させるので→介助もしづらくなる)ですし、

ご本人の骨がもろくなっている場合は、クッションがあっても骨折などにつながりかねません。






要介護度が高い(介助量が多い)方というのは、普段から「不動」な時間が長い場合が多く、

体の柔軟性が低下しやすいため、ひどい場合は全身が「1枚の板」のような状態で、前傾姿勢などが取れないケースがあります。

そのせいで、介助者がご本人に密着して、一度立ち上がってから方向転換せざるを得なくなり、

「落下(浴びせ倒し)」につながりやすくなると考えられます。





在宅では、ご本人と介助者とで体格差があったり、介助者自身が腰痛など介助作業をしづらいケースは、よくあります。

今後「老々介護」が進むと、そういうご家庭はますます増えそうですね。

無理のない介助をすべく、複数人でやった方がいい場合は(ご近所さんなど)応援を呼びたいところですが、

夜中にトイレに行くために移乗介助する場合などは、介助者が一人でせざるを得ない場面があり得ます。





今回の動画は、そのようなケースに関して、仕組みの考察と、対策の「1例」をご紹介したものです。

介助者がご本人と一緒に落下して、どちらも怪我して入院するような、まさに「共倒れ」にならないよう、

私の方で出せる情報は、出させてもらいます。

次回は、車イス介助の中でも疲れやすい、「段差昇降」の介助方法に関してお伝えする予定です。







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■編集後記
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超高齢社会の影響で→病院や高齢者施設のベッド数が不足傾向です

少子化・労働力不足の影響で→高齢者施設などは職員数が足りず、入所制限するところが出て来ています。

長引く不況や医療・介護費の負担問題の影響で→入院や施設入所よりは低コストで済む「在宅医療」を選ぶ人が増えています。

そうなると、「在宅でいかに粘るか」ということがテーマになるご家庭が増えますね。





現在でも、本当は施設に入所した方がいいケースなのに、経済的な事情などから在宅医療になっていることは、よくあります。

「在宅生活だと、こことここに無理がある(危険がある)」から施設入所が適切なのに、

諸事情で在宅を選んでいるため、どうしても「ギャップ」が生まれます。

その「ギャップ」をなんとかして埋めようと、関係者(ご家族や医療・福祉職)が奮闘している図式ですね。






ただ、「何事も無理をすると続かない」ため、

無理したご家族や医療・福祉関係者が疲弊して、つぶれてしまう状況があり得ます。

つぶれてしまった人が担当していた作業は、誰か別の人が行わねばならないため、

その人への負担が増し、新たな疲弊やシステムの崩壊を生む「負のスパイラル」にハマりかねません。

にっちもさっちも行かなくなってからでは、遅いですね。






在宅生活が「本来は困難」というケースの中には、

例えば、認知症で、火の始末や管理などができなくて危険だから施設入所、というのもあり得ますが、

「身体能力の低下」が理由で(例えば、一人でトイレまで往復できない、など)在宅は困難というのであれば、

リハビリで身体能力を高め、維持できれば、在宅生活を継続できることになります。






ただ、労働力不足で、リハビリの専門職も量・質ともに不足気味なので、

ご家族自身が(介護と同様)リハビリを施せれば、ご本人の在宅生活を継続できる可能性が増しますね。

もちろん、リハビリの方法は、簡単かつ安全で、具体的な効果が出るものでなければ継続しづらいので、

レナト式リハビリでは、そのようなものを厳選して、出版作品や動画などでお伝えしています。






まだ世間では、「リハビリは専門職がやるもの」という認識かも知れませんが、

もう既に「家族がリハビリをする時代」に突入していると考えられます。

それに気づいた方が、どうして良いか途方に暮れてしまわないよう

「道標の一つ」として、私からの情報が少しでもお役に立てれば幸いです。







最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46