第46号:福祉用具「車椅子編:その5」

 

 

 

 

<第46号(2020.2.29)>

 

 

 







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家族がリハビリをする時代 ~ご自分やご家族でカンタンにできて、効果の出るリハビリ~

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こんにちは、発行人の理学療法士 レナトです。

理学療法士はリハビリの国家資格です。

このメルマガの発行は「ほぼ週刊」なので、ゆっくりしたペースでやらせてもらっています。

拙い文章でお見苦しいところがあるかも知れませんが、よろしくお願い致します。






このメルマガは、自分が作ってきたYouTube動画が増えてきたため、

「こういう順番で動画を観てもらった方が、分かりやすいですよ」というガイドとして始めました。

動画の内容の補足も、メルマガの文章中に書かせてもらっています






さて、第42号からは「福祉用具シリーズ」が始まり、

特に優先すべきものとして「移動」に関する用具を、且つ、症状のより重い方が利用する用具から、ということで、

「車イス」関連のお話から始めています。

本やネットで見つかるような一般的な情報でなく、リハビリ専門職としての経験からのお話をお伝えして行く予定です。





第46号は、こちらです↓


■「福祉用具:車椅子編」

  その5:移乗は「最短コース」が無難です



■編集後記:「共有」して、超高齢者社会に対応したいですね



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■移乗は「最短コース」が無難です
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前号までは、どうせ一定の時間を車イスで過ごさねばならない状況なら、

「リハビリ(筋トレ)」の要素も入れた方が良いので、その方法や工夫をお伝えしました。

今回からは、車イス利用者への介助方法の話に進んで行きます

まずは、車イスへの乗り降り(移乗)に関する動画から、ご紹介します↓






「【車イスの介助】移乗は「最短コース」が無難です」(3分30秒)

https://www.youtube.com/watch?v=5WzU0GTVZQs&list=PL87Hh0oDQOdeDg9_IQdK0yZ6GLeTNxHwT&index=5






動画の中では、

1.「乗り移る車イスを、どの位置に置くのがいいか」

2.「最短距離で乗り移れるように置かないと、何が危険か」

3.「身体能力に合わせて、車イスのアームレストは跳ね上げて使う」

4.「介助する立場の方は、ご自分で車イスを体験してみると危険が分かりやすい」

などについてお伝えしています。






車イスなどに乗り移る「移乗」動作は、一般的な人からすれば、わずかな距離の移動なのですが、

身体能力が低下している人からすれば、かなり怖い動作になります

怖さを感じてくれていれば、まだ慎重さがあって良いかも知れませんが、

認知面の低下などがあると、ご自分の身体能力低下を忘れて、パッと乗り移ろうとして転倒・大ケガしたりしかねません。





対応としては、ざっくり言うと、

「危険な要素を一つ一つ取り除いておく」という作業になります。

その際、「逆に考えてみる」と、各対応の「意義」が分かりやすくなりますよ。





例えば(もちろんご本人の身体能力にもよるのですが)、


・乗り移る距離が最短でないと
 →歩数が増えて、転倒のリスクがその分増す
 (だから、最短距離に設置する)。


・立ち上がりなど重心の上下動が必要だと
 →重心が高いとフラつきやすく、転倒リスクがその分増す
 (だから、立ち上がらなくても水平移動で乗り移れるように設定する)


・フットレスト(足のせ台)がジャマな位置にあると
 →乗り移る際に足を引っかけてしまうリスクがある
 (だから、移動ルート内にフットレストが来ないように車イスを設置する)


と、こんな感じですね。





それに、ご本人が大変になる設定というのは、介助者の介助量も増えて大変な設定なので、

お互いにラクで安全な、「理にかなった設定」で乗り移りした方がいいですもんね。

もちろん、目的が「ご本人を鍛えること」なら、話は別なのですが

安全第一で行うなら、こういう要素をおさえた方がいいですよ、というお話でした。





次回も「移乗介助」に関する動画をご紹介する予定ですが、

ご本人がご自分では動けない場合(全介助の場合)に起こりやすい問題への対策を取り上げるつもりです。

ご本人だけでなく、介助者の安全も守る方法でないと、「共倒れ」になりかねませんから、大事ですね。






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■編集後記
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医療関係者は、長年その分野にいて慣れてしまうと、

そうでない「一般の方の感覚」を忘れてしまいがちかも知れません

車イスを例にとっても、

一般の方にとっては、未知とまでは言わなくても、

「どう扱って良いか分からない道具」である可能性があります。





道具なので、必ず構造には意図がありますし、

用途によって使い分ける(選び分ける)ことをしてこそ、道具が真価を発揮します。

専門職はそれを、いかに相手の方に分かりやすく伝えて「共有」できるかが大事になりますね。

でないと、「宝の持ち腐れ」や、「不適切な道具の選択」になってしまいかねません。






私はリハビリの専門職で身体能力(動作能力)改善の専門職ですが

福祉用具の専門職の方もいらっしゃいます(介護保険で車イスをレンタルする際に、持って来てくれる方など)。

多少、私のボヤキになりますが、

在宅で車イスを導入する際、福祉用具の専門職の方が車イスを持参しただけで、

「じゃあ、リハビリの先生、あとはよろしくお願いします」と、

調整などを丸投げ?して帰られることがあります。





お忙しいとは想像しますが、それをやっていると、

福祉用具の専門職としては、スキルが伸びにくそうです。

本や講習会で教わる基本的な操作や調整方法だけでは、

個々の利用者さんに合わせた調整や使用方法のアドバイスがしにくいですもんね。

リハビリの専門職がいる現場なら、色んなことを「共有」できるので、

その機会を有効活用してくれた方が、誰にとってもメリットがあると考えます。











最後までお読み下さり、ありがとうございました。

発行頻度は「ほぼ週刊」としていますが、

早まったり、遅くなったりするかも知れませんので、ご了承下さい


では、また次回をお楽しみに!

(レナト)



・今後もリハビリ関連の内容を、YouTubeの動画も使って、簡単にお伝えして行きます

(YouTubeのチャンネル名は「人生リハビリちゃんねる」です)。


・バックナンバー(ページの後半にございます):https://no-pain-yes-gain.com/free/w46